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第13話:学園の嵐と、過保護な聖女


最悪のクラスメイト

 王立魔導学院、初等部Aクラス。

 飛び級で入学した三歳のルインを待っていたのは、煌びやかな貴族の子弟たち……そして、最前列に陣取るあの少年――勇者の生まれ変わり、レオンだった。

「今日から君も同級生だね、ルイン君。仲良くしようじゃないか」

 爽やかな笑みを浮かべ、握手を求めてくるレオン。だが、その手の内側には、かつて魔王の心臓を貫いた時と同じ、容赦なき「断罪」の波動が凝縮されていた。

 ルインは震えるふりをして、その手を両手で包み込む。

(……この男、わざと私を怒らせて、魔王の魔力を引き出すつもりか。だが、無駄だ。今の私は、ただの『握力1キロ』の子供だからな)

「レオンおにいちゃん、よろしくおねがいしますぅ……」

 ルインの完璧な(あざとい)演技に、レオンの眉がピクリと跳ねる。


ルイーゼ、爆発

 その光景を、隣の席で見守っていたルイーゼの瞳が、静かに、しかし激しく燃え上がった。

 彼女には見えていた。レオンがルインに向けて放った、針のような殺気の残滓が。

「……離しなさい」

 ルイーゼが低く呟いた瞬間、教室の窓ガラスが激しく共鳴を始めた。

「レオン。私のルイン君に、その汚い手で触れないで。……消し飛ばすわよ?」

「ル、ルイーゼ様!? 何を仰って――」

 レオンが驚愕して手を引こうとしたが、遅かった。

 ルイーゼの体から、魔王の闇すら浄化するほどの**「極大聖魔力」**が溢れ出し、教室全体を白い光が飲み込んでいく。

(ちょ、ちょっと待てルイーゼ! 君は聖女か何かの生まれ変わりなのか!? これでは私の正体以前に、教室が物理的に消滅する!)

 ルインは慌ててルイーゼの背中に手を回し、自身の「防御魔法」を全開にした。だが、それは敵を阻むためのものではない。ルイーゼの溢れ出るパワーを、彼女自身の内側に「守護(封印)」するための結界だ。

「ルイーゼ様、だいじょうぶだよ! ぼく、こわくないよ!」

 ルインが抱きつくと、ルイーゼの荒れ狂う聖なる波動は嘘のように収まり、彼女は一瞬で「可愛い婚約者」の顔に戻った。

 周囲の生徒たちは「皇女様の愛の力、すごすぎる……」と勘違いして感嘆の声を漏らしている。


魔道書の衝撃発言

 放課後。どっと疲れ果てたルインは、寄宿舎の自室で禁忌の魔道書を広げた。

「……勇者に聖女(仮)。この学園はどうなっているんだ。平穏の『へ』の字もない」

『――クカカ、主よ。まだ驚くのは早い。我が感知したところによれば、この学園にはもう一人、懐かしい魂が混じっておるぞ』

 魔道書のページが、一枚の不気味な肖像画で止まる。それは、魔王軍で最も忠誠心が高かった四天王の一人、冥府相・ゼノスの姿だった。

「ゼノスまで……? あいつも転生していたのか」

『しかも、だ。あやつは現在、この学院の**「教頭」**として潜伏しておる。主を探し出し、再び「魔王軍の再興」を目論んでおるようだな』

 ルインは天を仰いだ。

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