2.日本へ行こう(2)
―数日後、俺は空港にいた。
結局あの後あの小僧は本当にチケットを取っていたらしく次の日にまた来たのだ。
もうどうしようもないので(どちらにせよイタリアから出て行く気ではあった)、日本に行くことになってしまった…。
「はぁ…まさか本当に日本行くことになるとはな…」
「まぁ、約束はしちゃったんだし守らないと、男の恥よ。」
「お前は女だろ…」
「…それで、腕は大丈夫になったの?」
「…まぁな」
実は俺は数日前の事故の時に右腕を打撲していた。
幸い、生活に支障をきたすレベルではなかったものの、しばらくはハンドルを握らないらしい。
「まったく、踏んだり蹴ったりだよ。」
「ふふーん♪」
そんな俺を横目に空気を読まずに鼻歌をうたうやつがいる。
「それに…お前はそろそろ名前を言えよ。」
「ふぇ?あぁ、僕は優希です!!!」
「あーわかったわかった、黙ってくれ。」
「(´・ω・`)」
「それで、優希はどこか行きたいところとかがあるのか?」
「いや、とりあえず大阪行きの飛行機を取っただけですよ!」
「…、なら行きたい場所があるからついてきてくれ。」
「はい!!!」
「それじゃ、じゃあなレイナ」
「うん、私もいつか会いに行くから。」
その後、無事日本に降り立った俺たちは、その足で大阪のとあるチューニングショップへと向かった。
繁華街の裏手にあるその不気味な佇まいの店はおそらく常連客でも慣れはしないだろう。
「…ここがそうなんですか…」
「ああ、まぁたしかに普通に生きている人間はまず気づかないだろうし、こんなところに来ることもないだろうな。」
「安心しろ。ここは俺の知り合いがやってる店だ。」
俺の隣で小さく震える優希をなだめるようにおれは中へと入る。
入ってすぐに奥から声が聞こえてくる。
「おぉ、タマゴじゃねぇか!」
「タマゴ…?」
「そこは気にしなくていい。」
「お久しぶりです。ケイさん。」
「向こうのほうで大活躍してるらしいな!」
「…えぇ、まぁもう辞めましたけど…」
俺はカウンターから出てくるその中年の男と軽く挨拶を交わす。
「ナンダァ、ホントにやめちまったのか?」
「まぁ…はい…」
「ふ〜ん…」
そして、その男の視線が優希に向く。
「ん〜?見ない顔がいるじゃねぇか。」
「…そうですね。優希、とりあえず挨拶しろ」
俺はそう言って隣でぽかんとしている
優希を小突く。
「え…あぁはじめまして。小林優希と言います。」
ったく、なんでこういう時だけは礼儀正しくできるのかな…
「そんな硬くいる必要はねぇよ。とりあえず客人が来たんだ。座れよ。」
そして俺達は店内にあるテーブルを挟んで座る。
「こっちこそはじめましてだな。おれは本田圭佑ってモンだ。」
「奇跡の同姓同名?」
「ハハッ、よく言われるよ。」
そして、ケイさんが続ける。
「ココは俺がホンダ好きの野郎どもが集まるために作った専門のチューニングショップでな、基本常連と常連から紹介された客しか入れないようにしてんだ。」
「…?ってことは先輩も誰からか紹介してもらったんですか?」
「それはそうなんだが、ケイさん、本題に入らせてもらっていいですか。」
「おっ、そうだな。んでタマゴ、今日は何しに来た。」
「その呼び方はできればやめて欲しいですね…。
なんでも、コイツが免許を取ったんでクルマが欲しいそうでね。」
「ほお〜。わざわざうちに来たってことは君も覚悟ができてるってことだね?」
「は、はい…そうです。」
「ならハナシは早い、ちょうどお前に合ういいクルマを整備してたからそれをやろう。」
「…は?」「…は?」
思わず優希とシンクロしてしまった。
「いや、ケイさん!急に来た知らんやつにそんな軽い感じでそんなやばそうなクルマをあげていいんですか!」
「あげる気はない、金は払わせる。」
「そうじゃなくって!」
見ろ、優希ですら真顔になってるぞ。
「…ま、その子が買うかどうかは別として、とりあえずついてこい。」
そう言うとケイさんは店の奥へと入っていってしまった。
どうする、とりあえずついていくしかないだろうが。
「先輩…あの本田さんって人、前からあんな感じなんですか…?」
「…いや、前はあんな感じじゃなかったはずなんだが…とりあえずついていくぞ。」
「…はい。」
ども。何日かぶりの投稿です。
とりあえず日本に着いた2人。久しぶりに帰ってきたこの地で薫君はどうしていくのか。果たしてこのオッサンは誰なのか。2話で退場したヒロインはどうなってしまうのか。
次回、まさかの場所に!?




