201X年 Who is the Gamer?
どんどん試験日に近づいてくる。ちょっとした自己PRを考えたり、試験のマナーについて学びなおしたり……。
あっという間に二週間が過ぎ去ってしまった。
朝早くから置き、化粧をし、スーツに着替え、髪を整えエキサイト本社に向かう。戸締りを確認し、家を後にした。
電車に揺られながら、本社ビルに向かう。
地図上では確実に東京といっても都会の方ではないのだが。マップ情報を頼りに乗り継ぎをしたりして開始時刻の三十分前、九時三十分に本社ビルに着いたのだった。街角にポツンと建っている一軒家。ビルと言って良いのかさえも分からない。
――ここ、じつはすごく小さい会社なんじゃ……。
「あ! よく来てくれましたね~」
ビル(?)の中から出てきた普通の中年男性。きっと、関係者なのだろう。
中に上がると、まぁそれなりにはオフィスっぽさが出ていた。
待機室にはもう四、五人の人が来ていた。ぺこりと礼をして部屋に入り、ソファの人がいない場所に腰を掛け、荷物を置く。
来ている人の特徴は皆がイヤホンをしていることだった。
ノイズキャンセリング。そこは、自分しかいない世界。そんな世界を求めている人が今ここにいるのだ。長いソファに座っているのに、同じ地を踏んでいるのに、他人への興味が全くと言ってもいい程に感じられない。ここも、試験に入っているのかもしれないのに。
どんどん揃っていき、中には少し声をかける人もいた。
――何が求められている?
「あぁ。んと、全員揃ったので試験始めます」
「まずは。私、東が試験官です。よろしく」
出迎えてくれた、中年が東ということだった。
それぞれの自己紹介に始った。もちろん、本名じゃなくてデビューした時の名前。もともと言われていた五対五のゲームに移った。
「えっと、ミナミです。牛乃ミナミ。よろしくね」
チーム分けの後もまた自己紹介をした。
「あ、オレ? リューセーだ」
「うん! れんのは蓮池れんのでーすっ」
「え!? れんのちゃんちょーかわいー! おれは、ジャックだぜ!」
「私は藤川だ。よろしく」
チャラい感じの男が二人と、インテリ風だけど顔が良くない男、可愛い感じの女子。
ゲーム的には誰でもやったことがあるような一般的にはやっているものが使われた。マルチ機能で最大五人まで共闘可能の銃を使うバトルゲーム。
チームの中で誰がどの役割に就くか話し合い決定した。
牛乃とリューセーが敵に攻める、蓮池と藤川の後方支援、ジャックはスナイパーとして全体の監視。
「はじめ!」
ゲームが始まり、ミナミは敵陣地に着くべく勢いよく隠れながらも急いでいる。時間設定は五分でこの間に生き残った人が多い方の勝ち。
結局、スナイパーの活躍で二人まで減らせたが全滅させられてしまい、負けることになってしまった。
ゲームも終わり、次の審査内容の発表だ。この内容は全員聞いていない。
「えー。次の審査は雑談です」
その場がざわめいた。驚きの表情が隠せていない人も少なからずいた。
そして、舞凛も心の中で驚いていた。
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