201X年 exsam II
今日は待ちに待った合否発表の日。正直、自信は少しある。
第一に応募数が少ないだろう。認知度が低く、売れるかもわからないものに首を突っ込む人もそういないだろう。舞凛もその一人なのだが。
次に、芸能活動をしたいと考えている人は自分に自信がある。自分にコンプレックスがあったとしてもこれを補えるぐらいの長所がある。だが、舞凛にそんな自信はない。身バレなんて嫌だし、週刊誌に載せられるのなんかまっぴらなのだ。
そんな彼、彼女達にとっては今は絶好のチャンス。身を危険にさらさずうまくやっていけるかもしれない。
今日の午後六時から八時までに電話がかかってくる。それが合否発表だ。
次の試験への切符を渡されるか、この駅で降りろと言われるか。
時計の短針が六時をさす。いつもの休日とは一味違う緊張感を持ちながら過ごしている。
この少しの時間も今長針が一つ動くのもゆっくりに時間が流れて、永遠を感じさせる。いつか終わる永遠を。
眼も前の携帯が揺れる。着信音も聞こえる。心の震えが止まらない。そっと携帯を耳に押し付ける。
電話越しの声に集中する。聞き漏らしがないように。
「レインボーライブプロダクションであっていますでしょうか?」
「あっていますよ」
気持ちを感じさせないような声。また、胸がざわつく。
「合格して……います」
「えっ? 本当ですか?」
思っているよりも早い合否発表に驚きながらも舞凛は心の中で跳ね上がった。
「二十人中合格は十人。二分の一の確率です」
その後は二次試験の会場、日時、試験内容が話された。
場所はエキサイト本社ビル五階。再来週の日曜日朝から晩まで。
試験内容は面接とグループワーク。グループワークでは、五対五に別れてゲームをする。勝敗の問題ではなく、きっと初対面の人とのチームワークが問われている。
あと、試験内容は秘密のものがある。これの準備も整えていかなければならない。Vtuberは3Dだからダンスだろうか。いや、分からない。体力を増やすのに問題はないだろう。
舞凛にとって久しぶりの試験勉強が始まったのだった。
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