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風俗枠ですから  作者: 無夜
戦争編
5/57

そして戦争は終わったが、暴力とはかなしいものだよ、君

 焼けた平原に、でかいハサミムシだけが君臨していた。

 そばにある無数の箱からは、「ひぃっっ」とか「やーめーてー、かじらないでー」という悲鳴が上がっている。

「今回もプロフェッサーが圧勝でしたね」

 と、ハーメルが勝者インタビューをしにきた。数で圧せないな、このつわものは、と皆が途中で諦めに入ってしまった。

「勝利の秘訣は何でしょう?」

「若いのが暴発して消耗しつくさないように、首根っこ押さえつつ、ベテランが動ける配置を作り続けること、かな」

「予想外にまともなコメント頂きました」

 いつもはハサミムシへの愛を語って終わるのに。

「ところでスタッフ長」

「はい」

「虫箱刑の箱がまだ残っているから、入ってみなさい(疑問形ではないところに注目せよ)」

「へ? いえ、私、まだ業務が」

「きっと楽しいから。幸せなハサミムシのお母さんの一生を味わってきたまえ」

「な、なんか、怒ってます? これでもトラブル解決に全力で、ひっ、わぁぁぁぁ」

「怒ってはないが、もっとたくさん、捕虜、いやまあ、受講生がとれると思ったら箱が余ってしまった」



 そしてこの戦場にはハサミムシのお母さん以外、残らなかった。


「暴力とはかなしいものだよ、君」


 対戦した皇帝の首を全部、お尻のはさみでチョッキンしてきた勝者が、何をやいわん?

 致命傷ははさみでなく、生成される青酸だったのだけれども。肉食系昆虫で、毒まで操ると危険すぎる。


 長い触手を前脚でていていと撫でながら、

「うちの教え子も残らなかったな。少し扱き直そう」

 呟いて、ハサミムシは去っていき。


 悲鳴を響かせる箱だけが残った。



 勝者プロフェッサーの願い事は


「アムリタに虫の数を増やしたい(むろんロボットだ)×2」

 だった。

 おかけで帝1さんの園芸ハードルを上げる、のは叶った。

 植物を囓る害虫も増えたからだ。

 

 アムリタの昆虫の監修をしたのがプロフェッサーなので、ハサミムシだけですでに十種いるんだが。

 今回も八種追加されることになった。

 ハサミムシだけそんなに増やしてどーするんですか。


 技術屋が依頼されて泣いていた。形だけならともかく、生態もトレースして、各個体にそれぞれ個性を与えねばならないのだから、


 そりゃあもう


 地獄



 そもそもハサミムシだけでも十八種類。

 学者以外、見分けられないだろ。

 むなしいよね。

 と思うだろうが、技術者達はなんか滾ったらしい。職人達は難しい仕事が好きなのである。


戦争イベント終了ー

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