第12.5話 清掃活動とトイレとお金
シュカンと別れ、円形広場に向かう。
途中の商店でパンと何かの干し肉が売っている店があり、参考に値段を尋ねるとパンが鉄銭1枚、干し肉が鉄銭4枚だという事がわかった。
宿屋で食べたパンは鉄銭3枚だったので場所代やら原料の差で価格が違う可能性はあるが、宿屋の飯は高級品だという認識を今のうちから覚えておく。
また馬の糞を集める者がいた。道が綺麗に維持されているのは仕事として機能しているのだろう。最終的には肥料になるのかはわからないが、このあたりの仕事なら俺でもできる。
そしてついに俺は円形広場近くの建物で《《ある》》標識
を発見する。男と女の姿を表すそれは日本の公衆トイレそのものだ。
斡旋所で英数字を発見した時から街のインフラに先輩勇者の知識が反映されている可能性を考えていたが、これは決定的だった。今まで緊張のせいか大小どちらも出る気配が無かったが、いざ目にしてしまうと安心感から急に催してきた。
男の標識目掛けて自然と駆け足になる。開け放たれた入口から奥に入ろうとすると老爺に呼び止められた。
「カミはいらんかね?」
「いります!」
「カミは銅貨3枚だよ」
「宿屋一泊分!?」
「なんだ、金持ちじゃないのかい?もちろん他も取り揃えてるよ、板が鉄銭2枚、葉が鉄銭1枚、どうするね?」
「…カミでお願いします!」
「まいどあり」
銅貨3枚とポケットティッシュほどのカミを交換し、個室のトイレを目指す。
「和式のボットン!しかし、まだましな方か…」
⁺能力成長
⁺能力上昇
!?
シュカンと出会ったときに固定したのを忘れていた、危ない危ない。事故になるところだった。
▼状態固定 解除
独特の匂いに苦しみつつ、俺は事を済ませた。
購入したカミはゴワゴワしており、日本のトイレ事情が本当に恵まれている事を思い知った。
また、先輩勇者達は転送当初から本当に過酷な状況でここまで発展させたのだなと、一人だけ楽をしてしまったようで大変気が重くなる。
「ほれ、そこで手を洗うといい」
トイレから出てきた俺に老爺は柄杓が置かれた瓶を指差しながら言う。
「ありがとうございます」
「気にしなさんな、このくらいサービスせんと肥料が集まらんのよ」
「…なるほど」
肥料として重宝されている時代か。
色々と慣れる必要がある事が多そうだ。
少し軽くなった小銭袋を確認する。
銀貨7枚 銅貨16枚 鉄銭1枚
よく考えて生きよう。




