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呪い、呪われ…  作者: 河辺 螢
本編
5/12

6回目

 十四歳、ダッシュモンド伯爵家での婚約式。目の前のレイナールが目に映る。

 とたんに、昨日まで記憶になかったことが、湧き出すように蘇る。一回目も、二回目も、三回目、四回…

 意識を手放す。


 深く、深く沈んでいく、真っ暗な闇の中。

 知らない声が響いた。

  -そろそろ死なないでもらえないもんかね

「誰?」

 どこにも声の主の姿はない。

  -自殺未遂?

  -おまえさん、そんな柄じゃないだろう

  -しっかりおしよ

  -このままじゃ、あの男、時の狭間に飲まれちまうよ

「あの男?」

  -おまえの死に耐えきれず

  -闇の魔法に頼ってまでおまえを死ぬ前に戻らせた男だよ

「男…」

 私の近くにいる男の人と言えば、父以外は…

「レイナール?」

  -おまえは結婚の日に殺される

  -そういう呪いを受けている

  -おまえが死に戻るのは十回だ

  -十回目に死ねば、もう生き返ることはない

  -だが、あの男はもう諦めてしまっている

  -あの男は二つある道のもう一つを願うようになってしまった

  -なのにそれさえも叶わない

「二つある道って?」

  -この繰り返しを終える方法は

  -おまえが 結婚の日を乗り切るか 結婚しないか

「結婚しない…」

 そんな方法があったなんて。

 でも、レイナールはそれも試してる。そして解消することはできない、と私に謝った。

  -どう頑張ってもおまえは死ぬ

  -あの男は、死んだおまえを抱いて、絶望を繰り返すうちに

  -何もできなくなってしまった

「頑張った…? いつだって、私になんて大して興味なくて、何もしてない。何も…」

  -おまえが覚えている最初の死は、どんな死に方だった?

「結婚式の後、果実水に毒が入っていて…」

  -それは、最初の死じゃない

「えっ?」

  -その前にもおまえは死を繰り返し

  -あの男は何とかしようともがいたが、救えなかった…

 これは六度目…じゃない? その前にも、私が覚えていないだけで…

 もしかしたら、これが十回目かも…?

「レイナールが何とかしようと動いていたのは、何回?」

  -そんなこと、知るものか

  -本人に聞くといい

  -まずはおまえの最初の死因を知ることだ

  -そして、死なない方法を考えな

  -でなければおまえは呪いに負けて死に

  -あの男は永遠に孤独の闇をさまようことになるよ


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