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タマカー

 賢者であるタマちゃんがうちの父(元勇者)の話を聞いて作った車は静かに砂漠を走っていた


「みんニャー タマカーの乗り心地は どうにゃ? 」


(タマちゃん 車のネーミング)


「タマちゃん ごっつい ええでー うち ここで住みたいくらいだっちゃ」


「おお ナバ タマカーの良さがわかっているにゃ そうにゃ 今度はこのタマカーのにゃかに遊び道具も入れとくにゃ」


 はしゃぐナバとタマちゃんをよそに私はタマカーの窓から砂だらけの景色をぼんやり眺めていた

 浮かんでくるのはアスモと過ごした楽しい日々であった


「らみ お茶でも飲めよ 僕が入れたお茶は最高だぞ」


 アルミちゃんが元気のない私を気遣ってタマカーのキッチンからお茶をいれてきてくれた

 私達がタマカーに乗って2日間ほど経ったころようやくキッチン王国へと続く道の入口が見えてきた


「おお ようやくついたみたいにゃ タマカーはこの辺に隠しておくにゃ 後で取りに来るにゃ 少し改善が必要にゃ」


 私達はタマカーを降りマナの森を目指したが皆の疲れも溜まっていたため川の温泉地で一泊しようということになった

 川の温泉地への入口では父とタマちゃんの銅像が出迎える


「みんな今日の夜は触鬼カニーラの鍋が出るらしいぞ」


 温泉の脱衣所ではアルミちゃんが服を脱ぎながら旅館の従業員から聞き出したであろう情報を誇らしげに教えてくれた


「おお らみ ナバ 喜ぶにゃこの時期にしか捕ることのできない触鬼カニーラの鍋が食べられるニャンてラッキーにゃ」


 タマちゃんは胸まで巻いたタオル姿でカニーラの真似であろう横歩きを披露しそのまま浴場まで歩いていった

 途中タオルは落ちてしまったがタマちゃんはキャハハと笑いながら湯船へと横歩きのまま消えていった

 続いてアルミちゃんナバもなぜだかカニーラの真似をしながら浴場へ歩いていく

 楽しい光景であったが私には真似ができそうもなかった


 その日私達はカニーラ鍋を堪能し就寝となった私は旅館の部屋にあるバルコニーから外を眺めた

 明日は再びマナの森へと足を踏み入れる

 私にとってこの世界での最後の夜になるだろう

 外は精霊たちがぼんやりと光りながら飛んでいた


 次の日の夕方頃私達はマナボードの前にいた


「さあ みんなラミの手をつなぐにゃ」


 私はマナボードに手をふれ勇者の力を発現させる

 眼の前が一度白んだ後霧が晴れるようにまわりが見えるようになると板さんのお店の前に皆が手をつないだ状態で移動していた


「さ はいろう 」


 私は板さんのお店のドアに手をかけのれんをくぐる


「へいらっしゃい」


 板さんの切れのある声がお店にひびく


「おう らみ それから タマにアルミ あー ナバ だったな まぁ 座ってくれ」


 板さんは手際よくお茶をカウンターへと出していく


「あー ミカエルちゃんもう少しでこっち来るから ちょっと まっててくれぃ その間にマナ食っとくか? おう 食え食え」


 板さんはそう言うと調理場で下ごしらえを始めた

 しばらくして玄関がガラと開いた


「へいらっしゃい」


 板さんが声をかける


「こんにちわぁ みんな あつまってるぅ? 天使で女神ぃなミカエルちゃんですよー 板さんお茶ちょうだい」


 ミカエルちゃんがやってきた 

 しかしその格好はジャージのようなものを着ているように見える


「ミカエルちゃんジャージ? 」


 しまったおもわず声に出してしまった


「ああ らみ いいのいいの ここは庭みたいなところだからこの前降臨のときにしていたファッションは下界向けなのよ なにしろ下界のひと達は姿形で力を図るからね ねぇ 板さん」


「おう そうだな しかし ミカエルちゃんは今日もべっぴんさんだね えへへ」


 板さんはもう誰が見てもメロメロだ


「さあ じゃあ早速だけどらみこれが新しくなったチケットよ 」


 ミカエルちゃんはそう言うとポケットから一枚のチケットを取り出した



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