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「あらまぁ さすがはリストちゃんの娘ですわ こんなにこの竜が初対面の人に甘えるなんてちょっとめずらしいのですわよ もしかしたらラミス様やリストちゃんの匂いがするのかもしれませんわよ」

 ナベちゃんはそう言うと慣れた手付きで竜に鞍などの装備品をつけていく

「くんくん ラミス リストの匂いがするみゅー」

(ちょっと みゅーやめてよ)

「昔はね 竜に武具や防具はつけなかったんだけどね 低レベルの触鬼までが凶暴化してるから移動中に竜に噛み付いたりすることがあるのよ」

 ナベちゃんは装備を竜に付け終わると私に竜車の御者席へ乗るように言った

 竜車の御者席は長椅子になっていて3人くらいは乗れそうだ

「それじゃあ いきますわよ」

 ナベちゃんが手綱を引くと竜車はゆっくりと動き出した

 魔王城の城門の吊橋がおろされ私達の乗った竜車がぽつんと出ていく

 魔王城からマナボードの森に行くには数時間おきに毒を発する毒霧の森を通りぬけなければならなかったが毒を発する時間帯は完全に掌握されていて私達に害が及ぶようなことはなかった

 毒霧の森を抜けると竜がしきりに鳴き声をあげていたがしばらくすると路肩にうずくまる

 少女をみつけた

「声をかけてはダメですわ」

 動く竜車の御者席でその人に声をかけようとした私をナベちゃんが静止する

「え でも助けてあげなきゃ」

 私がそう言うとやれやれといった感じでナベちゃんは竜車の速度をその娘の隣で落とした

「あの調子が悪いんですか?」

 私は竜車から声をかける

「ワタシ キレイ?」

 うずくまったままでそういった娘の顔は色白で美しかった

「ワタシ キレイ?」

「ええ おきれいですよ それより大丈夫なんですかー?」

「ワタシ キ・・・」

 そこまでゆうと娘の口は耳まで裂けた

「コレデモ キレイ?」

「えっ」

 牙の並んだその口を大きくあけながら蛙飛びのような格好で竜車へ飛びかかってきた

「触鬼 なのでございますよ!」

 ヒュン 触鬼が竜車に取り付こうとしたその瞬間ナベちゃんの鞭が飛び触鬼の首に巻き付く

「よいしょ でございますわ」

 ナベちゃんは一度触鬼を上空に放り出したかと思うと竜車の前方へ叩きつけた

 触鬼はギャッと短い悲鳴をあげ中空に霧散しなにかを落としたようだ

 ナベちゃんは青ざめている私を抱き寄せた

「大丈夫ですわよ ちょっと持ってて」

 といって私に手綱を渡すと竜車を止め触鬼の落としたドロップ品を取りに行った

「ドロップ品を見ると触鬼 ナグの変異種のようですわ これ高く売れるのですよ」

 御者席に戻ったナベちゃんはドロップ品の赤い粉を私に見せるとニコリと笑って手綱を私から取り竜車をゆっくりと進ませた



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