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別れの準備

「それにしても大きな会社にゃ」


 私達はサキさんに一度挨拶してからマナボードへと向かおうとサキュバスの街へと立ち寄った

 サキュバスの街のA地区に位置するサキ・ホテルアンドリゾーツ本社城は城壁に囲まれた巨大な建物でありキッチン王国の王城と双璧をなすほどの豪華な作りとなっている


「あー サキ タマにゃ いま下にいるにゃ」


 タマちゃんは魔力レシーバを使い城壁の外から見える本社城の一番上を見上げながらサキさんに連絡をとっている

 本社城の上層に位置するバルコニーに小さな人影が見えこちらに手を振っている おそらくあれがサキさんだろう

 しばらくすると城壁のゲートが開き2,3人のボディーガードを引き連れたサキさんがやってきた


「あらぁ みんな いらっしゃい お仕事 終わらせちゃうから 中で 待ってて ねぇ」


 私達はサキさんに連れられ本社城の応接間へと通された


「やっぱり こういうところは慣れないにゃあ 」


 タマちゃんとナバはあたりを見回しながらソワソワとしている


「お茶をどうぞ サキ様はもうそろそろこちらに来られると思います もう少々お待ちください」


 足首から腰のあたりまで切れ込んだサキュバス独特の衣装を身にまとった従業員がお茶を持ってきてくれた


「みんなぁ まった? ごめん なさい ねぇ」


 私達がお茶を飲み干そうとしている頃 普段着(水着か?)に着替えたサキさんが応接間にやってきた


「ねぇ はやく ここから 出ましょう 息苦しい わぁ ねぇ」


 サキさんは自分の胸当てを引っ張りながら私達に移動を促した

 私達はサキさんの会社からサキュバスの街A地区にある喫茶店のようなお店へ移動した


「あらぁ ついてこなくていいって 言ったのに ねぇ」


 サキさんはお店の中をみまわすとSPらしい男女のカップルの方をむき小さく手を振ったがそのカップルはサキさんから顔をそむけてなにやら話をしている風に行動を切り替えた


「ごめんね ちょっと 会社の人 ついてきちゃった けど ねぇ」


「しかたないにゃ サキは 社長さんだからにゃ」


 タマちゃんがすかさずフォローを入れた後私達は今回の滝でのできごとと今後の行動をサキさんに伝えておいた


「そう らみ ここで お別れに なるかしら ねぇ」


 サキさんは私を見つめ少しだけ悲しい顔をした


「サキさん今までいろいろありがとうございました」


「ふぅ らみ また こっちに 来た時は 必ず声を かけて ねぇ あと アガレス様と ナベちゃん カンナには 私の方からいっておくわ ねぇ」


 サキさんはアスモを殺したアガレスちゃんに私が会いたくないことを察したに違いない

 いろいろな思いもあったがここはサキさんに委ねることにした


「サキさん よろしくお願いします」


「らみ 短い間だったけど 楽しかったわ あっちに帰ったら ラミス様 もとい お父さんやお母さんによろしく いっといて ねぇ」


 サキさんはそう言って一口飲み物に口をつけた

 私達はしばらく話をしたあとサキさんと別れ一路マナの森へと向かうこととなった


「らみ ナバ これに乗るにゃ 」


 サキュバスの街を出て砂漠の道をしばらく歩いた辺りでタマちゃんが偽装の魔術を解除するとこんもりと丘になった砂の山からこの世界には珍しい形の車のようなものが出てきた


「タマちゃん これ って 車?」


「おお やっぱり らみも知っていたかにゃ これはリストがこの世界にいたときに提案してタマが実用化したものにゃ リストはこれにエンジンとか言うものを載せて燃料を燃やして走るように言っていたがにゃ この世界では魔法で走らせたほうが効率がいいにゃ ちょっとタマが

 再設計してみたにゃ にゃはは」


 タマちゃんは砂漠の色と遜色ないボディーをさすりながら言った


「ただにゃあ まだこの乗り物はこの世界のバランスを大きくくずしかねにゃいからにゃ まだ隠してるんにゃ まあ 乗るにゃ 乗るにゃ」


 私達が乗り込みタマちゃんが車の前方から出ている水晶のようなものに手を触れると室内の空調と全面のモニターが作動する


「おお すげーな すずしいわぁ これ タマちゃん すげーな」


 ナバが目を輝かせて喜んでいる


「だろにゃ 一応省魔力化してるけどにゃ 結構魔力消費するからにゃ みんなで手伝うにゃよ」


 その後タマちゃんが一通りこの車への魔力の供給の仕方を皆に教えた

 魔力の供給は初歩魔法が主体で使われていたためみんな思ったより早く魔力の供給を覚えることができた


「さ いくにゃー」


 タマちゃんの号令で私達を乗せた車は静かに動き出した

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