降臨
「らみ ひとまずここに入ってるにゃ 土魔法 監獄! にゃあああ 」
タマちゃんが土魔法を唱えると私のまわりの土がせり出し檻のようにになっていく
「タマちゃん ありがとう」
私は声がする方向へむかってお礼を言ったがタマちゃんの姿は見えなかった
私がタマちゃんの魔法 監獄 の中に入ってからしばらく立っているが峰鳥の攻撃は止む気配がない 檻のまわりを旋回し威嚇をしたり檻をつついたりしている
「らみ 無茶したね ちょっと待ってろよ」
「らみ アルミ呼んできたにゃ もう大丈夫にゃ」
タマちゃんにつれられやってきたアルミちゃんは即座に剣のスキルを発動した
「アルミ双剣乱舞 烈風螺旋剣!」
アルミちゃんは私の檻の前に飛び出て双剣を広げ猛スピードで回ると竜巻を起こした
峰鳥はみるみるうちにアルミちゃんの作った竜巻の中に吸い込まれ吹き上がったあとまわりにぼたぼたと落ちてきた
峰鳥を一掃したアルミちゃんは回転を徐々に緩める
アルミちゃんは転生の際いろいろな能力を失ったと聞いたがさすがは魔王の4天王と呼ばれていただけあり徐々に戻ってきているその能力は
桁外れのものだ
「らみ もう出てきてもいいぞ 僕はナバのところに帰る 早く帰らないとナバが凍えてしまうからな ハハハ」
アルミちゃんは双剣を腰に戻しその幼く美しい容姿に似合わない口調でそう言うとそそくさとその場から立ち去った
「監獄 解除 にゃ」
岩陰からひょっこり顔を出したタマちゃんが魔法を解除し私は自由の身となった
「さあ らみ 塚の薪を拾うにゃ 拾うにゃ」
峰鳥のいなくなった塚で私とタマちゃんは薪を拾い集めた
そして集めた薪を祭壇に運び儀式を行っているナバのまわりで火を起こした
「ナバ 交代の時間にゃ らみ いけるにゃ? 」
「うん 大丈夫 ナバ変わるね」
私は準備をしてナバと交代した
「あー はらへったわー タマちゃんなんか食べるもんあるかー」
「おう ナバおつかれさまにゃ テントに甘いおかしを用意してあるにゃ にゃにか温かい飲み物でも作って飲むといいにゃ」
「らみ いっぺんテントに帰ってくるけー がんばりんさいよー 」
ナバは儀式を行っている私に手をふるとタマちゃんアルミちゃんと祭壇を降りた
自然の音しかしない静かな空間でひたすら神の降臨を信じアスモの復活を信じ踊り続ける
温熱魔法と焚き火のおかげで体も冷えずこの調子なら2時間踊り続けられるだろう
(神様)
(アスモ)
(神様)
(アスモ)
一人になるとアスモとの楽しい思い出やいなくなってしまった事の寂しさアスモが生きているうちにしてあげられなかった事の悔しさ等いろいろな感情がいりみだれてやってきた
私は踊りながらいつの間にか泣いていた
私は涙を拭うこともなく一心不乱に儀式を続けた
(届いて この思い)
「らみ 交代だ かわろう」
(え もう)
私は時が立つのも忘れて踊りに没頭していたらしい しかし残念ながら私の思いは神に伝わることはなかったのだろう 祭壇に変化はなくただ静かな自然がそこにはあった
その後つつがなく交代は続き3巡目の私の順番がやってきた際皆が見守る中変化が起こった
祭壇の上空にかかっていた霧が一部分から裂けそこから光が差し込む
この光景をみたなら誰しもが神の降臨を思い浮かべるだろう
そして差し込んだ光の中から一人の女神が舞い降りてくる
圧倒的な威厳と目もくらむばかりの神々しさ 私達はその光景をただただあっけにとられながら見守ったのだった