冷気
私達は神の降臨の儀式を行うため一度みんなで祭壇の上に登ってみた
祭壇の上はいつでも湿っているが水滴が落ちているようなことはなかった
降臨の儀式は途切れなく行われることが肝心のようで私達は2時間交代で降臨の踊りを捧げる事にした
「じゃあ タマから始めるにゃ」
タマちゃんは何やら呪文を唱え始めたかと思うと印を組みガタガタと震えだしたあと突然目を見開きゆっくりと尻文字を描き出す
「おお」
タマちゃんのエロすばらしい腰の動きにみんな釘付けだ
当初この動きはなにかの冗談なのかとおもっていたくらいだったのだが祭壇の上で儀式を行うタマちゃんの姿は霧がかった祭壇ともあいまってなんとも神秘的で美しかった
「さあ タマが踊ってる間にご飯の準備と休憩するぞ」
アルミちゃんの合図で私達はタマちゃんに手を振り一度祭壇から降りることにした
タマちゃんは踊りながら頷いている
「らみ ナバ 水は落ちていないとはいえ祭壇はかなり冷える 交代するまでに体に温熱魔法をほどこしておいたほうがいいだろう」
アルミちゃんは私達に温熱魔法のかけ方を教えてくれた
温熱魔法は基本魔法の炎と水を少量混合し体にまとわせる方法で大きな魔法が使えない私達にも扱うことができた
「そろそろ 交代の時間だな」
2時間がたとうとした頃テントの中ではアルミちゃんの言葉を受けナバが準備を整える
「じゃあ いってくるわぁ」
「待って」
私とアルミちゃんは結局心配になり顔を見合わせナバを祭壇まで送ることにした
祭壇ではナバとタマちゃんが儀式の途切れなく踊りを交代しタマちゃんがガタガタ震えながら私達のところに帰ってきた
「寒い 寒いにゃあ 温熱魔法だけじゃちょっと厳しいかもしれないにゃ」
「やっぱりそうか わかった とりあえず僕がナバの横で炎魔法を使うよ」
アルミちゃんはタマちゃんに持ってきたブラケットを頭から被せ濡れているタマちゃんを拭き上げながらそういった
その後アルミちゃんはナバの支援に向かいテントの中で少しだけ休憩し鋭気を取り戻したタマちゃんは薪拾いに行くと言い出した
「らみ 薪を探すにゃ アルミの魔法の代わりに薪を燃やすにゃ」
わかったと言いたいところであったがこの湿り気の多い森の中で乾いた薪を探すのは至難の技であろう
「らみ 触鬼峰鳥の巣を探すといいにゃ」
タマちゃんと共にテントから出て森を見回す私の疑問を察してかタマちゃんが森の奥に見えるこんもりと盛り上がった塚のようなものを指差した
「らみ ちょっと森のにゃかの音を聞いてみにゃ」
私はタマちゃんにいわれたとおり森の音に耳をそばだてる
ギョエー ギョエーと何かの声がする 街中でもたまに聞く鳥の声だ
「らみ この鳴き声の鳥の巣がそこにある塚ニャンだけどあの塚のにゃかの巣は乾いた木で作られているにゃよ」
タマちゃんは親指をたてると満面のタマちゃんスマイルを見せた
「ただ らみ 峰鳥は普段は人族を襲うことはほとんどにゃいんだけど巣に近づくものに鋭いくちばしで襲いかかる習性があるにゃ 気をつけるにゃ」
私とタマちゃんは少しの装備を整え薪を取りに向かう
「らみ しっにゃ」
タマちゃんは私の行動を止めると近くにせり出た岩の影に誘導した
「さて らみ どうするにゃ まずは塚に鳥がいるのかを確かめたいにゃ」
「偵察はまかせてくれみゅー」
みゅうが私の肩から飛び降りひょこひょこ塚へ向かって歩きだした
そしてみゅうが塚にたどりつき中を覗こうとした瞬間上空からギョエーという1匹の峰鳥の声がしたかとおもうと空から無数の峰鳥達が一斉に
騒ぎ始めた
「まずい らみ みゅうがみつかったにゃ」
みゅうは峰鳥達に囲まれた状態で動けなくなってしまっているようだった
「私 みゅうを助けにいく! 」
「らみ 助けるってどうするにゃ」
「わからない わからないけど・・・・・・ 」
そう言いながら私は無謀にもみゅうを取り巻く峰鳥の中に突っ込んでいた
「みゅう」
私はみゅうのところまで行くとみゅうをポケットの中に押し込みハバネロソースを連呼する
「ハバネロソース」
「ハバネロソース」
「ハバネロソース」
しかし単発の魔法では峰鳥の数の攻撃には到底かなわず私は徐々に不利な状態へと陥っていったのだった