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赤顔族

「らみぃ こっちみたいだでぇ」


 ナバは異世界の観光地にはどこにでもあると言われているサキ・ホテルアンドリゾーツのチェーンホテルの看板を見つけ私の手をひいた

 ナバが赤顔族の村の滝 泡沫うたかたの滝 の程なく近くにあるこのホテルを見つけ喜んだのはサキさんから私が系列のホテル・旅館などをVIP待遇で安価に利用できるカードをもらっていたからだ

 サキさんが魔気の根源からの帰り


「らみぃ 私の所のホテル とっても いいのよ よかったら つかってみて ねぇ」


 とお試し感覚の軽いセクシィ口調で渡してくれたものだったがあとで思い起こせば

 サキさんは私がアスモのいなくなった丘の上の家に長くいられないことを察していてこのカードを渡してくれたのだろう


 私達がロビーに入るとフロントのお姉さんがにこやかに微笑んでくれた

 ここにつくまでに何人かの村人とすれ違ったが村人の頬には独特の線が入っていた

 このフロントのお姉さんも頬に線が入っているところを見ると現地の人なのだろう

 しかし赤顔族というのに別に顔の色が赤いわけではないのだななどと考えながら受付をすました


「らみぃ みてみいなぁ こっち 」


 ナバはホテルから窓をあけ私を呼んだ

 窓からの景色は私達が通ってきた砂漠と空中に浮かんだ巨大な岩から滝となって落ちる大量の水が不思議な景色を見せていた

 水は高高度からの落下で途中で霧散し雲となりその下に大きな森を形成していた

 滝に打たれるなどという伝説があるがこの様子だと滝壺すら存在しないのではないかと不安になり肩に乗っていたミューを手に移し撫で回した


 キンコン


「ルームサービスです 夕食をお持ちいたしました」


「はーい こっちだでぇ どうぞー」


 ナバは長い耳を即座にピンとたてドアの方に走っていった

 ナバはホテリエを部屋に招き入れると早速食事の準備をしてもらう


「らみぃ ごっついうまそうだがぁ はや たべよおいなぁ」


 ナバはテーブルに並べられたご飯を眺めるといきなりメインディッシュと思われる料理から手をつけた


「らみぃ いつ頃 滝に向かうだぁ」


 ナバはもう少しこのホテルでゆっくりしていたいのか上目遣いで私を見てきたため

 3日後くらいと言っておいた


 キンコン


 2日後の夕方ホテリエはいつもの時間より早く私達の部屋のチャイムを押したようだ


「ルームサービス です 夕食を お持ちいたしました にゃ」


(にゃ? )


 私がドアを開けるとそこにはニカァーっと笑うタマちゃんが立っていた


「タマちゃん! どうしたの? なんで? 」


「らみ 僕も いるぞ! 」


 タマちゃんの脇からアルミちゃんも顔を出した


「いやぁ 実は近くまで冒険で来てたんだけどにゃ サキから連絡でここにらみ達がいるって聞いたもんでにゃ ちょっと寄って見たにゃよ」


(ありゃりゃ サキさんに行動を完全に把握されてるなぁ まぁ しかたないよね)


「おお タマちゃん アルミちゃん ようきんさったなぁ ごっつー うれしいでー」


 声を聞いてナバが私の後ろからぴょんぴょんはねながら喜んでいる


「それで らみ 泡沫うたかたの滝に向かうっていうのは本当なのか? 」


 アルミちゃんが好奇の眼差しで私を見ている


(なにか 問題でもあるのだろうか? )


「アルミちゃん タマちゃん そんなところで立ち話もなんだけぇ はいってきんさいなぁ」


 ナバの機転に私もハッとし2人をそそくさと部屋に招き入れた


「タマ 見てみろよ ここ すごい景色だ」


 アルミちゃんは窓際に駆け寄るとそこから見える絶景に声を上げた


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