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出発

 小さなアスモは私がにぎっている左手にもう一方の手を添えた

 アガレスちゃんと私が魔気の根源に触れることができアスモに魔気を注入すればアスモは今までの記憶を取り戻すことができるかもしれない

 私達はそのためにここまでやってきた そして予定どおりなら明日ようやく悲願が達成される

 そんな思いの中私の中で大きな心境の変化があった

 みゅうの話を総合して考えると私がこの世界の時間を使っているとき元いた世界の時間は止まっているのだろう

 そして私がいた世界は止まってしまうが私のいなかった別の世界として動き始める

 私達はそうして無限に新しい世界をつくっているのだ

 ならばアスモの記憶がもどったらこの世界にとどまろう そしてみんなといっしょに楽しく暮らしていこう

 お父さんもお母さんも長い時間この世界にいたんだきっとわかってくれるだろう

 私は小さなアスモにそんな話を淡々と話した

 アスモはただニコニコと私の話を聞くだけだった


 次の日私達はナバやタマちゃんに見送られベースキャンプを出発した

 そして何事もなく地下13層でカンナさんナベちゃんと別れ地下15層でサキさんアルミちゃんとも別れ地下18層の魔獣のいた地点も通り過ぎた


「ちょっと 休憩して休むのが得策でいい案だとおもうのです あの岩の上で何かを食べたり食したりするのです」


 アガレスちゃんの提案で地下19層の中程で私達は少しだけ休憩を取ることにした


「アガレスちゃん ここ 意外と平和だね」


 私達は地下18層のジャングルのような景観とはうってかわりまるで砂漠のような地下19層の景観を呆然と眺める

 そしてもう一層下れば魔気の根源であるというのに魔獣は愚か生物の痕跡すら無いこの空間に違和感を覚えずにはいられなかった

 その違和感は現実のものとなった


「あれ アガレスちゃん ここってどこまでも平坦なんだね」


 私の意見にアガレスちゃんもゆっくりうなずく


「らみも気づいて注意をむけたのですか 今まで下り道が必ずあったというのに ここと来たらたいらで平坦なのです しかし 大丈夫なのです 実は本当は魔気の根源の真上は魔王城であったりしたりするのです だから ダンジョン入口からの方向を考えれば自ずと自動的に中心はわかるのです あと 当然ながら当たり前だけど魔気が一番濃厚で濃いところが魔気の根源の真上ではないかと考慮して考えているのです」


 アガレスちゃんはエッヘンと胸をはる

 そして私達はその方向へ向かって歩く みちしるべも何もない道をただゴールもわからず歩いた

 そしてほぼ魔気の真上 魔王城の真下あたりであろうというところに差し掛かった頃アガレスちゃんが私に声をかけた


「らみ さっきから 魔王の このアガレスの 足が砂に埋没して埋まっているのですが手を貸してもらってもいいですか」


 アガレスちゃんはとっさに羽をバサリバサリと羽ばたかせるが砂から足が抜ける気配はない


「アガレスちゃん 手を・・・・・・ 」


 私はとっさに手を差し伸べたがよく見ると私の足もアスモの足も砂に埋もれている

 結局3人手をつないだままズブズブと埋まっていく


「ふーん なるほど なのです らみ アスモ じっとして口と目を閉じてつぶっているのです」


 私は青ざめながらもアガレスちゃんの言うとおりにする


 砂の感覚を顔中に感じながらしばらくたつと急激に足のあたりに浮遊感を感じた

 私はとっさに身を固くしたが 重力には逆らえず砂から抜けた体は下へ下へと落ちていった


(あ このままなにかにぶつかったら死んじゃう)


 そう思った瞬間 急に重力を感じなくなった


(あれ 私止まった)


「らみ アスモ もう目を開いて開けてもいいのです」


 アガレスちゃんが静かな口調で言い私はゆっくりと目を開いた

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