表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/84

場景

「じゃあ 次のお題ねん」


 ココはゆっくりと光の玉を箱の中央に降ろしパチンと手を叩いた

 私が今回のお題で光の中に見えたのは学校での悲しかった出来事であった 友人に罵られ人を信じられなくなったそんな思い出だ 私は今 異世界であった壮絶な戦いや怯えを経てそれをただ穏やかな気持ちで眺めていた 異世界に来た当初これと同じような思い出をアガレスちゃんの仕立てた服を着たことによって見させられ魔気を暴走させた経緯がある以上心を落ち着かせていないとまずいとわかっていたのだ


 まわりを見るとアスモとナバに変化があらわれ始めた

 ナバはひどく怯え小動物のような姿になり逃げ場のない箱庭の中をパニック状態になりながら右往左往している

 アスモは真っ黒で巨大な足の生えた毒蛇の化物のような姿になり咆哮を上げている


「ココ 2人はどうなっているの?」


 私は箱の外の意識でココに話しかける


「そうねん 今回のお題は憤怒と怯えを題材に過去のにあった出来事を見てもらっているのん 2人の状態はかなりまずいわん2人共意識を箱庭の中に意識を持っていかれていて私の声に反応しないのん らみ 中で2人をハグしてあげてもらえるかしらん けどんおかしいん アスモは昔ここに来て一度この箱庭のお題やってるから大丈夫だと思ったんだけどん」


 ココは少し怪訝そうな顔を見せるともう一度箱の中を覗き込んだ


「ココ アスモはこっちの世界に来てから前いた世界での記憶がないの」


 私がココに伝えるとココは少し目を見開いて私を見た


「そうなん 大体今のアスモの状態の推測がついたわん あくまでも推測なんだけどん ラミ達がこちらへ来たのはイレギュラーなん そして

 イレギュラーな転移は体や精神に相当なダメージがあるん きっとアスモはここに来るときラミを自分の魔気や精神や肉体すべてを使って守ったんだとおもうのん だから記憶も精神もすべてが真っ白になった状態になってしまってるとおもうのん だからアスモは壮絶な昔の映像をみせられてパニックになってるんだとおもうわん」


 ココの話に心当たりがあった

 転移の際私はアスモの手を引き異界への道へ入ってしまった


「大丈夫 らみ 俺がまもるからさぁ」


 暗闇を落ちていく感覚の中アスモはそういってそっと私は抱えた事を思い出した


 私はすぐに箱庭の中に意識を戻しナバとアスモに安心を与えココの声が通るようにしなければならなかった

 そして箱中を逃げ回っていたナバを捕まえ抱きしめる


「大丈夫 ナバ ナバ 大丈夫 もう大丈夫 」


 息の荒かった小動物のような形をしたナバは徐々に息を落ち着かせていく


「らみ かぁ」


「らみ らみ らみ ゴメン らみ ありがとう」


 そしてナバはようやく落ちつきを取り戻し箱の外から自分を眺め自分に修正を加える


「 も もう 大丈夫 じゃねぇ じゃねぇけど 今は落ち着いたで この前のこと見させられとった こわいわ」


 ナバは箱の外で引きつった笑顔を見せながら箱の中に視線を戻した


 箱の中では苦しそうに一匹の竜が咆哮をあげていた


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ