祠
「こんにちはー 誰かいますかー」
祠と言われているぐらいだ だれか管理者がいてもおかしくない そう思った私は一応入りますよの意味も込めて祠の奥の方にむかって声をかけた
返事はない
「暗いわね」
私が入り口でそう言うとナバは松明の用意を始めたが魔法の使える私にはまわりを照らす術があった
「あ ナバ 松明 いらないよ ちょっとまってね」
「ライツ」
私は目の前に光の玉を取り出して頭上に送った ライツは薬草を採りに行くとき魔法マヨネーズだけでは不便であろうと猫人族賢者タマちゃんから教わった魔法でこの他にも触鬼を捕獲できる土魔法の罠の作り方や生活に使える小さな魔法などを教えて貰っていた
タマちゃんの魔法はいちいち詠唱がながくこの呪文もやれ天の光がどうだとか闇の深淵がどうとかいいながらいちいち恥ずかしいポーズを決めていたが
薬草の採取の旅の際すぐにそれはいらないんだと気づいた
(にゃはは だって かっこいいにゃ)と聞こえてきそうだ
余談ではあるがお父さんもタマちゃんにそういった魔法を習ったらしい
「おおおお すげぇ らみ すげぇなぁ ごっつい明るいがぁ」
ナバはキャッキャッと喜んだ
ナバは魔物が出るから地元の人は入らないと言ったが今の所魔物がでる気配もない
「ナバなんだろうこの大きな建物」
魔法の光に照らされた祠の中をしばらく進んでいくと広い空間にたどりついたその奥に見えるのは神殿風の建物であった
私達はその神殿の大きな扉の前にたつ
「ナバ これどうやって開けるんだろう 私達だけじゃムリっぽいね」
私は一応扉を押すため扉に手を置きグッと力をいれた
ウィーン
とまるで自動ドアのように扉がスライドした 私はつんのめりそうになったがこらえた
(横開きかーい!)
「待っていましたよん さあ 中へどうぞん」
女性の声が神殿中に響いた
警戒心のないその明るい声で私達はなんの疑念もなく神殿の中へと踏み入れてしまった
「奥の部屋でまってますよん 中へどうぞん」
私達は言われるがまま奥に見える部屋へと進み今度は普通サイズの扉の前へたった
(これノブがついてるから普通のドアだよね)
私はコンコンとノックをした
「あいてますん どうぞん」
私はドアノブをくるっと回しぐっと押す
ウィーン
とまるで自動ドアのように扉がスライドした
(横開きかーい!)
私は突然横に開いたドアに対応できずなだれ込むように部屋に転がり入った
「あらん うまくひっかかりましたん うひひ」
私が顔を上げるとそこには巫女のような格好をした丸い眼鏡をかけた一人の少女が立っていた
巫女のような少女はニヘラと笑った顔をとりつくろったように真面目な顔に戻した
「さてん ひとまずん 私はこの神殿の管理者でこの世界と異界を結ぶために神と更新する巫女ん 名前をココっていうん よろしくねん とりあえずそこすわってん」
ココは私達を用意してあったテーブルに案内してお茶を入れてくれた
「えーっと あなたん らみとアスモディウスでいいん あってるん?」
ココはなぜだか私達の名前を知っていた