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長老の死

「ナバ よお 聞きん さいな わしゃ 今日中に 死んで しまうけぇ 言っときたい ことが あるだ」


 長老は煙管の灰をポンと落とすとふぅと息をついた


「じいじ なんでそんなことを言うだぁ まだじいじ生きとるが」


 ナバは少し涙声になりながら長老に話しかける


「ナバ なぁがいこと生きとるとなぁ だいたい わかるっちゅうもんだぁ そんでなぁ そういう うことだけぇ ナバ この人たちについていきんさい じいじが 死んだらなぁ フゥ ナバ一人に なっちゃうだらぁ 違う 世界でもいいけぇ ナバが安心して 暮らせるところに 連れて行って もらいんさい なぁ らみさん たのむわぁ」


 私は静かにうなずいた


 しばらくたち長老は寝転んだまま意識がなくなった


「ああ タバコうま かったなぁ おおい これから 行くけぇなぁ ちょっと つかれ たわぁ」


 長老は脈絡のない話をしたかと思うと両腕を天井に突き出しじっと自分の手のひらを見ていた


「いくけぇ」


「いまいくけぇ」


「・・・」


 そして長老はふぅと大きなため息をつき息を止めた


「じいじ じいいじ おきて じいじ」


 ナバは長老に話しかけるが返事はなかった


 その後私達はナバとともに長老を荼毘に付し長老の家を片付けた


「ナバ 行こうか」


 数日後私達は長老の家を後にして北の祠へ向かうことにした

 ナバは長年住んでいた家をじっと見ていたが


「らみちゃん いこう」


「らみちゃん うち 強くなりたい らみちゃんみたいに強くなりたい」


 ポツリとそういうと家に背を向け歩き出した

 その目には強い意思が宿っているかのように見えた


 北の祠は長老の家から歩いて3日ほどのところにあり私達は休憩をとりながら一週間ほどかけてここを目指した

 ナバは黙っているとふさぎ込んでしまうためキッチン王国で暮らしていた頃の楽しい思い出を話しながら歩いた


「僕は おねえちゃんと一緒にくらしていたんですね」


 アスモはまだ記憶をとりもどすこともなく私の話を食い入るように聞いていた

 みゅうはアスモやナバを和ませようと私の肩からナバやアスモの頭に飛び移っては私の話の相手をしてくれていた


 そして北の祠に着く頃にはナバが久しぶりの笑顔を見せてくれホッとしたのだった


「らみちゃん ここが北の祠だでぇ 伝説では異界から来た人たちはここから旅立つといわれとるだがぁ」


 久しぶりに笑顔の戻ったナバは独特の方言を使い私に話しかける

 なにかかわいらしいななどとふと思ってしまった


「ナバ ここからどうするの?」


「らみちゃん 中には凶暴な魔物がおるっていわれとってこっから先はここに住んどる人間は入らんだがぁ まぁ伝承が本当だったら ここに なんか らみちゃんがもとの世界に帰るヒントがあるっておもうで」


 ナバの説明で私は入り口を一度見やりぐっと拳に力をいれ祠への一歩を踏みだした


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