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野盗

 犯罪に巻き込まれるような場所へは行ってはならない一見楽しそうに見える場所・サービスはそれを演出している者がいることをあたまにいれておかなければならない


 しかしそんな場所へ行かなくとも犯罪はいつどこで起こるかわからないのも事実だ、昔見たテレビのワイドショーでインタビューに応じる目撃者は決まってこういう


「こんなところでこんな犯罪がおこるなんて...」


 そしてそれが起こる所は犯罪が起こりそうもない閑静な住宅街であったり一見平和に見える暮らしの中で起こったりするのだ

 私はそういった教えをお父から淡々と聞かされることがあった

 わかったわかったとその時は父を鬱陶しがり聞く耳をもたなかった。いや聞いていた、しかしその時犯罪など自分の身の回りに起きるはずないと楽観していたのだ


 なんの変哲もないいつもの仕事、ナバはそんなつもりででかけていたのだろう


「おらおら それもとっちまえよ へっへっへ」


 ナバを囲んだ黒い兎人たちは下卑た笑いを浮べながらナバの衣服を剥いでゆく


「たのむけぇ やめてえなぁ」


 ナバの悲痛な叫びは族たちの怒声によって押さえつけられる


「るせえ」


 そういうと族の一人はナバの頭を平手で打った

 よろけるナバにもう一人が待ち構えたようにナバの足にケリを加える


「クルクルまわってんじゃねぇぞ おい いーや もっとまわれよ こらぁ」


 ボロボロになりながら抵抗しようとするナバに族達の容赦はない

 そして ナバが大声をあげて助けを叫んだ瞬間、族の一人がナバの鳩尾に拳をいれた


「うるせえ」


「う」


 ナバはたまらずうずくまり嘔吐する


「きったねぇ こいつ 吐きやがった 顔こいつで隠しちまおうぜ へっへっへ」


 族は持っていたボロ雑巾のようなものをナバに被せようとしていた


「アスモここでまってて」


「マヨネーズ」


 私は異世界で数年間の間使ってきた魔法マヨネーズをナバを取り囲んでいた黒い兎人族に発動する

 私の魔法マヨネーズはアスモと過ごした数年間のうちにレベルアップし技術をあげずいぶんと使いやすいものになっていた

 マヨネーズは一人ずつ族たちを覆い口鼻耳あらゆる穴をふさぎ一瞬で絶命させた


「ナバ ナバ ナバ ナバ」


 私は泣きながら自分の着ていたマントでナバの体を包んだ

 ナバは恐怖のあまり声も出せず視線をただ中空に泳がせていた


「もう大丈夫 もう大丈夫だから」


 私はナバを抱きしめ背中をさすり必死で気丈にふるまっっていたが手足は震え涙も止まらなかった


 しばらくして私達は静かに長老の家へと帰った

 ナバは水を浴びた後何も言わず自分の部屋に閉じこもってしまった

 心の整理をするためにはしばらく時間がかかるだろう


 ナバが動けなくなって数ヶ月私達はナバの代わりに働いた

 長老は心労がかさみ日に日に衰えてきているのがわかった

 そしてついに長老も立てなくなり床に伏してしまった


「らみさん わりぃけど ナバを呼んできてつかぁさらんかいなぁ」


 長老は私にナバを呼んでくるようにいうと苦しそうにしながらも煙管に火をつけはじめた


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