スパ
「アスモ 男湯はあっち」
「ええ なんでだよう 俺もいっしょにはいりたいんだよう」
川の温泉のレジャー施設型スパの入り口でアスモがダダをこねる
「だから 入り口は違うけど中で一つになるんだから アスモはあっちからはいるの」
私は説明看板に書いてあったそのままの文言をアスモに伝えてなだめる
「おう わかったぜ じゃあしばしの別れだな さらばだ皆のもの はっはっは」
アスモはそういうとタオルを肩にかけ威風堂々といった感じで暖簾をくぐっていった
「じゃあ みなさん いきますわよ さぁさぁ」
ナベちゃんは眼鏡をなおしながら私達のしんがりをつとめる
水着着用のこの温泉は一般入浴用の男女別の湯船を通り外に出ると趣向を凝らした湯船やプールがある男女共用部分につながる
皆なれているのか更衣室で水着に着替えるとそそくさと一般入浴用の湯船をスルーし共用部分に出ていった
「タマ タマ はやくこいよ」
アルミちゃんがタマちゃんの手を引いて真っ先に温水の滝の方へかけだした
「アルミ ちょっと待つにゃ 準備運動するにゃ」
タマちゃんとアルミちゃんは準備運動の後両手で頬をパシッとはさんで「っしゃあ」と叫びながら温泉の滝へと向かっていった
これからなにが起きるのだろう
2人は滝に打たれながら印を組みなにやら呪文を唱えガタガタ震えだした
「カンナ また やってますわよ あの2人」
「きゃはは ほんとにー なにをー やってるんだろー わたしもーやってみよっかなー」
カンナさんがそういうとナベちゃんが
「やめときなさい んもうっ はずかしいったら ないですわよっ」
私達はそんなタマちゃんたちを眺めながら木で作られたジャグジー風呂に浸かっていた
「わっはっは らみー どこだー 」
共用部分に出てきた男は全裸にモヤ(股間のみ)だ
「あらっ まぁ アスモ様 いやですわ 」
ナベちゃんは湯気で曇った眼鏡を指でふきかけ直しチラチラとアスモのほうを見ている
私は眉間を押さえながら見つかりませんようにと声を潜めた
「らみー ここにいたかー 風呂気持ちいいかー 俺もいれてくれよー」
(あちゃあ 見つかった 知り合いだと思われたくないわ)
「ア アスモさん その格好はどういったおつもりで」
私は恐る恐るアスモに問いかける
「おっ らみ おかしいか?」
アスモはのほほんといってのけた
「キーッ かえって卑猥なんじゃあ すぐ パンツはけ そして 滝に打たれろ」
私は激しく攻撃呪文をあびせる
「なに怒ってんだよ ったく わーったよ 滝に打たれんだろ」
渋々パンツをはいたアスモはタマちゃんとアルミの間にはいりわけのわからない呪文を大声で唱えながら印を組みガタガタ震えだした
「ぎゃははは」
「にゃはは」
「わっはっは」
みんなの笑い声が施設にひびいたそんな異世界のとある一日だった