デザイン
アスモのおかげで窮地を脱した私達はそのまま空路で川の温泉まで一直線でやってきてしまった為予定の時間までかなりの時間が開くことになった
「らみー 俺 ちょっとこのままでもいいかぁ 変なことしないからサァ」
竜車をそっと着陸させたアスモは濡れた子犬のような目で私に懇願してくる
(くぅ 小さいアスモと同じ目で頼んでくるんだもんなぁ)
サンドワームから助けてもらったこともあり今回は少しだけ言うことを聞いてあげることにした
「ア アスモ そ それからその格好どうにかしてよね」
アスモの格好は魔法で大事な部分だけ霧を発生させ見えなくしているほぼ素っ裸の状態であり私は赤くなりながら服を着るよう促す
「なんだよ らみぃ セクシィだろ これ ほれほーれ」
アスモは腰を振りながらうれしそうにしている為ほっとこうかとも思ったが一緒に歩くのはごめんだ
「うむー 俺はこれでもいいんだがなぁ らみがそう言うなら着替えとくかぁ ナベちゃんなんか布みたいなもんあるー?」
アスモは竜車から降りてナベちゃんが竜車に置いていた予備のほろを広げ空中に飛ばし魔法をかける
ほろは空中で霧散したかと思うとアスモの体にまとわりついた
「らみー これでいいかぁ」
「ぶはっ おーい」
私はアスモの格好におもわず吹き出してしまった
「アスモ それ 女の子の格好 」
アスモは私の着ている制服をそのまま模倣したらしくガタイのいいセーラー服の男の娘のようになってしまった
「なんでだよう らみ 同じ格好じゃねえかよ」
確かにセーラー服はもともと水兵さんの着ていた作業服なので上着だけならおかしくないかもしれないがデザイナーさんが女の子用にデザインしたこの制服とスカートを大男がひらひらさせているのは学校で学生服を見ていた私としては違和感がある
「うーん アスモがそう言うなら こんな感じにしたら?」
私は地面に絵を描きアスモの格好に修正を加える
上のセーラー服の襟の部分はそのままにしてズボンと上着を加える
「これならどう?」
私が描いた絵を見て即座にアスモが魔法によって服を着替える
「らみー どーだー これでいいかー」
着替えたアスモが私にポーズをとる
(ポーズとらなくてもいいですよ)
「あああ いいな ぼくもそんな服がほしいよ」
御者台のアルミちゃんがファンタジー系のいかにもなファッションになったアスモを見て羨ましがりながら竜車から降りてきた
「そうか そうか アルミも俺といっしょがいいのか よしよし わかったぞ」
アスモがそういうと御者台のタマちゃんも間髪いれずに
「それにゃら たまも おなじがいいにゃ」
と会話に入り込む
アスモはなにやら呪文を唱えたかとおもうとタマちゃんとアルミちゃんにそれを発動させた
「きゃ」
「ニャン」
タマちゃんとアルミちゃんの服は一度霧散したあとアスモと同じデザインに再形成され大事なところを隠したそのままの姿のタマちゃんとアルミちゃんをアスモと同じ格好に変えた
「アースーモー」
私はアスモをにらみつける
「らみー なに怒ってんだよー ほらーみんな同じになったじゃん かっこいいじゃん」
裸にされた当のタマちゃんとアルミちゃんは何事もなかったかのようにきゃははと笑いながらお互いの格好を見せあっている
(わたしにやったらころす)
そんなこともあったがひとまず私達は川の温泉の宿で一泊することになった
今晩は良い寝床でゆっくり眠れそうだ