トゥルーネーム始動
私達はナベちゃんの家に滞在することなく翌朝王都ショッピングモールへと向かうこととなった
「ナベちゃん なに買うの」
揺れる竜車の御者席に客車から顔を出して聞いてみる
「そうですわね おもに水分、食料ですわね パーティーに水魔法の使える術者がいればいいんだけど 水魔法は火魔法と違って使える術者がすくないのですわよ 」
やれやれといった表情でナベちゃんが言った
「水ってかさばるでしょ 売ってあるコンパクトに小さく固めたものもっていくのですわ 結構お値段がはりますのですけど」
(えっ 水って小さく固められるの?さすが異世界だわ)
「らみ アスモちゃんとあそこにジェムラート売ってあるから食べてまっていてほしいですわ」
程なくショッピングモールにつくと私はナベちゃんが買い物の間アスモと2人で広場に待っているように言われた
ベンチに腰掛け2人で待っていたのだがナベちゃんの用事は意外と長い時間かかるようだ
「アスモちゃん 私ちょっとトゥルーネームを使ってみる」
アスモはジェムラートのスプーンを口に咥えたままこちらを不思議そうに眺めている
(まぁ 別にアスモちゃんに確認とらなくてもいいんだけどね 誰かに言っておきたいじゃない)
スキルトゥルーネームをつかいぼんやりと人のながれをみていると色々なことが分かってきた
真名は 長く 真名の中で今その人が使っている仮名が真名の頭の部分、重要と思われる単語はピックアップされて表示できるようになっているらしいということ
真名には色がありおもに魔族 黒 獣人 黄色 人族 青などで表示されていることなどだ ただほとんどの種族が真名の中に多様な色を持ち合わせているようだ
そしてなによりも驚いたことに歩いている人の中に触鬼らしき種族がいるのだ
もちろん私以外の人間にわかるはずもなくショッピングモールを歩く人たちは安穏としている
「ただいまですわ らみ アスモ様変わりはありませんでしたか」
木箱にいっぱいの買い物を持ったナベちゃんが帰ってきたので私はトゥルーネームを使って行き交う人々を観察し中に触鬼らしいものがいることナベちゃんに伝えた
「らみ 急ぎましょう」
ナベちゃんは少し考えた後、顔を引き締め竜車に乗り込んだ
私達は川の温泉から山脈を迂回するように一度南東に下がっておいて北上する
「らみ 敵襲ですわ」
ナベちゃんが叫んだのは砂漠地帯を進んでいた時のことだった
敵は竜に乗った触鬼たちが約30ほどであり客車を引いている私達の竜車はあっという間に触鬼たちに囲まれてしまった
アスモちゃんが危機を感じ客車の中で服を脱ぎ始める
「ちょ アスモちゃん服は脱がなくてもいいのー」
私はアスモちゃんに抱きつき行動を静止する いざとなったら神の加護を使えばいいそう思っていた矢先竜車は
速度を落とし止められてしまった
「キャクシャノナカ ユックリ テイコウシナイデ オリテコイ」
私は「僕行かなきゃ」とうわ言のように言っているアスモの手を引きユックリと客車を降りていった