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カレンと菓子屋の娘。/前編<幕間>



予告した番外編です。では、お楽しみください。

 


 あたし、アザレア・リザと言います。今は12歳で、髪は長く薄い栗色かな。瞳は、父ちゃんに似て灰色。それなりの顔立ちはしていると思う。


 領都サラザードの東平民街リザ区の中で、小さなお菓子屋を営む両親と4人の兄妹達がいる。兄は、10の声を聞かずに余所に奉公に出されたんだ。本当は、7人兄妹だけど、私より上の兄と姉に妹の3人はそれぞれ別の時期にやって来た流行病で亡くしていた。


 リザ街区と私の苗字が同じなのは、生まれた場所の名前が苗字に成るから。規模の大きな都市や市町はその街区、規模の小さな村落はその村の名前が苗字になる。


 この東街区は、癒しの光神ユーピテル様の神殿が近い。病気や怪我は光神殿の分院か、施療院で面倒を見てはくれるけど、貧乏人ではお高い薬は買えなかった。


 ある時あたしを含めて、生き残った弟妹達も流行り病に倒れたんだ。癒しの光マナ法は怪我には効果が高いけど、病魔にはそれ程の効果は期待できない。


 効果が低いのは、病魔も人間の命を神にお返しする役目を負っていると考えられてたから、治療は必ずお薬と一緒に行う必要があった。


 でも、父ちゃん母ちゃんにとっては、生み育てた子供達の半分も生き残っていけないのは我慢が出来なかったんだろうね。交代で光神殿に毎日通って、あたし達の無事を祈ったんだ。


 そうしたら祈りが通じて、光神殿に視察に来られていた中央神殿のプレテ・ルカ様のお目にとまってそのご慈悲によって、あたし達は救われる事になった。


 ルカ様は、この国で5本の指に入る光マナ法の達人で、普通の光マナ法使いでは体の防御反応である熱を上げ過ぎて、消耗した体力のない人達の命を却って危険にさらすそうなんだ。


 熱を上げず身体の防御反応を上げて、病魔にも光マナの恩恵を与えなくて、お薬に頼らず微妙なコントロールが必要なマナ法だけでなんて施術を行える達人は限られていた。


 そういう事があって、神様に救いを求めた父ちゃん母ちゃんは信心深くなった。父ちゃんは酒を飲まなきゃ女も買わない真面目で頑固な親父だけど、精一杯の愛情をあたし達に注いでくれる。


 なんで酒を飲まないか母ちゃんに聞いたら、酒を断つ事であたし達兄妹の健康を神様に願掛けしているって言われた。


 何か有ってもお貴族様はご一族や国が保護をするけど、平民には代わりに名付け親制度があって、実親が早く亡くなった時には名付け親に面倒を見てもらう制度だから、大枚はたいて街の実力者やお貴族様に名付け親になってもらう事もあるんだ。


 うちは、貧乏だから無理だけどね。洗礼時に名付け親が名前をつけてから、戸籍の台帳に載せられる。普通は、その一族の中で生みの親より歳上が名付け親になる。


 お貴族様やお偉いさんの子供は、十分な医療を受けられるから生まれた時に本当の名前を貰う事もあるけど、あたし達は洗礼まで仮の名前で呼ばれる。


 母ちゃんは、あたしが年頃になると、「男は、見映えばかりじゃなく心映えだよ。」と口癖のように教えられる。だって、あたし達平民女の婚期は12〜16歳位までだもん。15の成人には、決まった相手と暮らす娘も多いんだ。


 あたし達は結婚が決まると、女は髪を上げる習慣がある。お貴族様は、髪を上げた女には手を付けない人もいるから、結婚を急ぐ人が多かったりする。


 最近は余り無いけど、7年ほど前までは運が悪ければ未婚既婚を問わずお貴族様なんかの一夜のお相手として慰み者になる娘達もいたらしい。


 それでも帝国が幅を利かせていた頃は、領主に当然の権利として"初夜権"というのがあって、領内の殆どの新婦は領主に手込めにされていたそうよ。


 一夜ならまだしも、領主のお気に入りとなれば妊娠するまで返されないのはザラに有ったし、反乱でも起こそうものなら老人と男は皆殺し、女は悉く陵辱の憂き目に遭って、時には顔や身を切り裂かれ戯れに殺されてもいたそうなんだ。


 だって、この国で最大の侮辱は、"帝国の犬!サマルカンドの獣"っていわれる程なんだ。そんな言い方をされると、誰もが怒りに震えて拳を振り上げる位だもの。殆どの人が、今でも心底帝国を憎んでる。


 帝国と比べれば、お貴族様のお遊びは随分と軽いと皆んな思っている。全部のお貴族様が平民相手に女遊びをなさる訳ではないし、不思議な力で確かに国を守っていらっしゃる。


 第一に、帝国から苦労をして独立を勝ち取った王様やお貴族様は、あたし達の誇りだもの。少し位のワガママで、一夜だけならと諦めていた人も多いよ。普通は、手切れの涙金も貰ってたしね。


 今から8〜9年前、あたし達の新しいご領主様が18歳の時にご成婚と同時に公爵となられた。


 実質的には、前代の公爵様が引き続きご政務を執っておられるんだけど、王国首都(ラ・シュリオン)との往来が激しいから、ご領主様は早く世代交代を為さるのが慣例とされるの。


 ご成婚の時にチラリと拝見したけど、馬車に乗られたご夫妻は沿道の民衆に穏やかに手を振られ迎えらた。幸せそうな新公爵様が、肩を抱かれておられたのは新婦のミラベル様だよ。


 忘れもしない、その抜ける様な白い肌と、サラサラの銀髪、キラキラと幸せそうに輝く紫水晶の瞳が"こんな綺麗な人が世の中には居るんだ!"と、幼心に印象的だった。そんな様子を、父ちゃんに肩車されて見ていた。


 子爵家であるバーゼル領モンテローザからのお輿入れとかで、その後の侯爵家ヌフシャルドン領カロリングのジュヌビエーヴ様のお輿入れと比べると随分と質素な感じがした。


 新公爵様が最初になされた些細な改革は、あたしたち平民の心に温かい物だったよ。


 都市中央街区(ヴァン・センヌ)の平民達は、〇〇家の所有物(ポピエテ)と言われる名前が付く。あたしに例えると、アザレア・ポピエテ・〇〇家となるよ。改革は、そんな小さな所から始まったんだ。


 持ち物(ポピエテ)と呼ばれていた名前を、(フォレ)にまず変えられた。これは、名前の呼びかえという小さな事なんだけど、私たち平民に取っては人間としての誇りを認められたかの様な感動を覚えた。


 そうして、ここからが驚きなんだ。今までは貴族男性の慰み者であった平民女性を、陵辱するのではなくキチンと結婚をして養いなさいと言うお触れが出たこと。


 もちろん、お貴族様との間に出来た子供にマナの発現はなく家も継げない。それにこの改革は、アイテシアの国是である"貴族同士の結婚"に対して挑戦的なもので有るらしい。


 当然、新しいお触れには反発が相当なもので、敢えて無視を決め込む貴族も多かったように思う。公爵様の目を盗んで、中央のメイド達や平民街の女達を慰み者にする貴族は後を絶たなかったしね。


 新公爵様が、"何人の女を娶ろうが文句は付けぬが、命にそむき我が家に泥を塗る恥知らずな貴族は誅滅する!"と豪語して、事実に基づいて2〜3家を公然と滅ぼして本気を示されたの。


 自分達が、火薬庫の上で火遊びをしていた事を悟ったお貴族様は慌てて態度を改めたみたい。それに、お遊びなら色街に行けば済む話なのに、絶家のリスクを背負う必要は無いしね。


 当代のご領主様は警察署を設けられて、東西南北の警察署の署長さんに公爵家の権威の象徴として家紋入りの盾と矛を授けられるし、住民自治を謳われて大切にしてくれる。


 裁判所も置かれて正義の女神ユスティーツィア様の権威の象徴、天秤と斧を託されて真面目な平民の安寧と保護に努められた方なので、あたし達は皆〜んな尊敬をしているよ。


 と言っても、お貴族様から求婚されて断れる平民は居なかったし、飽きられて突然に離縁される懸念もある。


 ある日突然に家族恋人から引き離されたり、離縁された時に支払われるお下賜金を幾らでも払える高位貴族様には余り意味はないのは痛し痒しかな。


 まあ、一夜限りのお遊び相手では無くなったのは大きな前進だなと思う。



 〜〜〜〜〜



 でも3年前、9歳の時のローヌ・イズコールの後に来た先触れの方と沢山の警吏と護衛騎士の方々が来られた時には、自分がそんな立場に立たされるとは思いも寄らなかったから、高位のお貴族様が来られると聞いて足がブルブルと震えたの。


 母ちゃんはトウが立ち過ぎて居るし、妹は4歳と幼い。他にお貴族様が下町に来られる理由も思い当たらないし、目に止まったと言えば、あたししか考えられない。少し早いけど、あたし位の生娘をご所望になるお貴族様も珍しくはない。


 戯れに、平民女を自由にするお貴族様はとても清潔には感じられないけど、突然の別れに動揺する両親を見ていたら、あたしが犠牲になって家にお金を入れられたらなんて覚悟が出来た。


 だから父ちゃんに、「自ら迎えに来てくれる位に、あたしにご執心なお貴族様なら、チャンと娶って貰えるから心配しないで。それに、病の時に死んで居たかも知れない命だし、家族の役に立って皆んなが楽に生活できるなら悔いはないよ。」と、微笑んで伝えた。


 父ちゃんと母ちゃんが、あたしを抱き締めて、「ゴメン、本当にゴメンね。」と何度も何度も謝って頭を撫でてくれる。弟も妹も、分からないなりに何かを察しているんだろう、あたしのスカートを掴んで、「お姉ちゃん、行かないで…。」と泣きじゃくっていた。


 分かっている。例え娶って貰えたとしても、多くのお貴族様にとって、あたし達平民は結局モノにしか過ぎない。そんな所にお嫁に行った所で、あたしが幸せに暮らしていけるなんて保障はないくらいはね。


 あたしにも夢や理想はあったし、憧れて付き合えたら良いなと思う相手もいた。南の商業区の表通り、コンタン街に店を構える商店の新進気鋭の2代目跡取り、ジョーゼフ・コンタン様に惹かれていた。


 とても、凛々しいお顔立ちで、あたしの様な下町の女は似つかわしくない。父ちゃん母ちゃんに連れられて、月に一度の中央神殿のお祈りに参加して居た時に、いつもお姿をボーっと眺めていた。


 皮肉な事に、お貴族様に見染められたとしたら、この中央神殿のお祈りの時だろうね。厚いベールを深くかぶって居たのに、ダメだったんだね。


 そりゃ、私だって驚いたわ。急に先触れが来て、警察署長のオスカー様が来られて、店の中も色々調べられて、近所の鎧戸も締め切る様に指導されたし、また、お貴族様のワガママなのねと誰もが思ったもの。


 お貴族様の馬車が、交通の遮断された店の前の通りをシズシズと入ってくる。あたし1人を迎えに、6頭だての大型長距離馬車が3台も来た。沢山の騎士に、先行した馬車から6人のとても美しいメイドさんが降りて来て通りを綺麗に掃き清めて打ち水をしていく。


 何で長距離って分かるかというと、各馬車に御者と従僕も入れて4人が乗っているからなんだ。重い荷物を載せる事を想定して、前後の車軸の間にある懸架台(けんかだい)と客室の間に強い板バネが入っているの。


 強い板バネは、今日の様に上の架台(かだい)に荷物が無い場合の馬車の動きを不安定(フワフワする)にさせるから、従僕なんかが荷物代わりに外に乗るので一目でわかる。


 同じ平民のメイドさんを観察していたら、無理にあたしなんかを貰わなくても、この美しいメイドさんから選んで貰えば良いのにとツイツイ思ってしまう。


 メイドさんが乗って来た馬車が前に退いて、頭に羽根飾りのされた夢の様に麗しい白馬に引かれた豪華な馬車がお店に横付けされると、あたし達は平伏して顔を伏せた。ご主人様が乗っている馬車なんだろう、本体が白く、所どころ金箔で上品に装飾されていた。


 気にして、チラッチラッと様子を伺うも、馬車の扉のご家紋や馬車の中などを伺う不躾は避けた。例え未来の旦那様が乗車されて居ようと、今は単なるお貴族様と平民なんだ。それに、これだけ大貴族様の側仕えとなると、そっちもお貴族様の可能性が高い。


 覗き込んで、お貴族様の気分を害して無礼討ちなんてご免だわ。他の馬車からもメイドさん以外の男装の麗人が2人と、シンプルなドレスのお嬢様が1人降りて来られて店から横付けされた馬車までに敷かれた絨毯の傍に控えた。


 あたしは、顔を伏せて居たから、人の足元だけを見て辺りの雰囲気を察するしかない。いよいよかと思ったら、体が震えて仕方ない。母ちゃんがさり気なく、手を握ってくれると、少しは落ち着いた。


 馬車の扉の下に階段状のステップが置かれて、扉から最初にステップに乗せられたピカピカの靴は、シックでエレガントな栗色(マッロン)だね。若いと言っても大人の女性の声で、周りの人達を労う声がする。


 この女の人が、あたしが生娘か病気が無いかの品定め役かなと、緊張でボーっとし始めた頭で考えている。後に続く、側仕えの女の人達の履き物もピカピカしていて、金貨の1枚や2枚はしそうなかんじ。


 そして、4つ目の靴がステップに降り立った。それはそれは小さくて、リボンの付いた可愛いピンク色の靴なんだ。思わず顔を上げて、靴の持ち主を確認しちゃったよ。


 見れば、うちの妹と同じ位の歳の女の子が、「皆さん、ご機嫌よう。私の買い物の為に、随分とご苦労、ご迷惑をお掛けしました。」とシッカリとした挨拶をしている。幾らするのか知れない白い総レースのドレスを纏って、(コロネテ)はしているし花の妖精みたいに可愛い女の子だった。


 "え⁉︎、え⁉︎、えと〜???"いくらなんでも、我が子を連れて、あたしを貰いに来る訳はないし、買い物って言ってなかったっけ?それに、この女の子にはどこか見覚えがある。


 全員降りた馬車の扉を確認して、あたし達は酷く驚いた。そのご家紋は、盾に2本の剣と向かい合った2頭のユニコーンの意匠がされて居たからなんだ。この領都(サラザード)に住む者なら誰でも知ってる、ご領主様(ロレッタ家)のご家紋だった。


 見覚えがあるはず、物心がついて間もない頃の強烈な印象そのままの、白くて透明な肌と銀糸の髪(プラチナ・ブロンド)紫色の瞳(バイオレット・アイ)だわ。間違いなく、公爵(デュク)様と正夫人(デュチェッセ)様の間のお姫(デュエンファン)様だよね。


 ロレッタ家は、王家と並ぶ格式の高い家だから、お姫様(プリンセ)とお呼びしても失礼には当たらない。


 家族と別れなくて良いと実感が湧いてくると、さっきまでの緊張感が緩んで嬉しくて父ちゃん母ちゃんと抱き合って叫び出したい気持ちになったよ。父ちゃん母ちゃんも同じ気持ちみたいだけど、お姫様の前でそこまでの不作法は出来ないわ。


 お姫様が、署長さんに興味を示されたのか何やらお言葉を交わして、「………暑いので鎧戸は開けさせて宜しいですよね?」"え⁉︎ええ〜〜〜!"このお姫様、間違いなくお貴族様だよね?お貴族様の中のお貴族様が平民に、こんな些細な心配りをするの???


 本物のお姫様が、下町の汚くて狭い店に入られるなんて前代未聞だよ。どこかで、あの高そうなドレスを引っ掛けてしまわないかハラハラする。


 お姫様が父ちゃん母ちゃんに話しかけるから、困惑して硬くなっていた。お付きの人が、「お嬢様、公の場での平民は直答出来ませんので、必ず私を通してご質問をしてください。」って、知らなかったのかな?


 お姫様は気にかけた風もなく笑顔で構わないと言われて、「直答は、爵位を持たれた方のみに許された特権なのです。」と注意されても、姫様のひどく変わった態度は変わらなかった。


 周囲の方々に感謝の気持ちを言われて、「………あなた方の行いは、爵位に優る誇りなのでは御座いませんこと?」と、爵位より"行い"が大切なんだと言わて衝撃だった。


 姫様は相当変わっているけど、あたし達にとっては嬉しい変わり方だよ。メイドさん達も態度には出ないけど、顔が嬉しそうに輝いていた。ああ、よっぽど大切にされているんだなと羨ましく思った。


 続けて、お母(デュチェッセ)様に貴族だからって偉そうにすると叱られるとか言われて、「………だから、オスカー署長様。馬車から大きな布地を下ろして、それの下に入って馬車に戻りますので、鎧戸の件は宜しくお頼み申し上げます。」


 周りに迷惑をかけて居るからって姫様の方がご遠慮されるなんて、署長様が感激して泣きそうな顔をして、「ははっ!必ず、姫様の御意に沿うように、このオスカー、命かけ参らせて頂きます。」と言われたのも、あたしも同じ気持ちだもん凄く分かる気がする。


 とっても、素敵に温かな気持ちになった。そっか、新しい公爵様の政策は、このお姫様を教育されたお母様の影響だったんだね。それにしてもお姫様って、こんなに幼いのに喋り方から歩き方までシッカリとしてるし、周りを説得できるほど賢いし、生まれながらのお姫様なんだな〜。


 今日は驚いてばかりだけど、うちの両親が自己紹介をするとお姫様も同じレベルで名乗られたんだ。思わずギョッとしたよ。普通のお貴族様は下々の前では長々とした名乗りを上げるのに、同じ2節で言われるって、あたし達と同じ人間だと言った様な物だよね?


 それに、なんて事でしょう!うちのお菓子が美味しいってお褒めになったよ!!!食べたくて来られたって、父ちゃんも母ちゃんも、声がうわずって凄く嬉しそう………。


 母ちゃんがお付きの人に、商売物の冷やし飴を振る舞って良いか聞いてる。あたしは連れて行かれずに済むし、狭い店に来られて、お菓子も褒められて、有頂天になる気持ちも分かるよ!


 ともかく、ありえなーい。だって、この王家に次いでアイテシア1の名家のお姫様が、うちをお褒めになられたんだよ?ここに来られるってだけで、大変名誉な事なのに〜〜。


 お付きの人は迷っていたみたいだけど、「私、ラルエットさんのお勧めの冷やし飴を頂かせて貰いますわ。騎士や警吏の方々は、警備上難しいやも知れませんが、せっかくのお気持ちですから、皆さんも交代で頂きましょう。」と、相変わらず警備の人にまで気配りの効いたお言葉で、本当に年端の行かないお子様なのかと思った。


 姫様が、母ちゃんから直接コップを受け取っている!普通は、お付きの人が受け取ってから渡すのに〜。渡した方の母ちゃんなんか微妙に震えてるよ。


 姫様は側仕えの人をお呼びになって、謝らなくて良いのに、「ごめんなさい、ラルエットさん。私、毒味されてない物は口に出来ないのです。勧められて居ながら、本当に申し訳ありません。」とても、丁寧な断りを入れられたんだ。物でしかない平民にだよ?


 でも、お姫様なら贅沢が出来て何でも自由になると思っていたら、あたし達にとって当たり前の飲食の自由が無いなんて、父ちゃん母ちゃんは涙目でシンミリとしてた。


 だって、父ちゃん母ちゃんにすれば、自分の子供くらいの小さな女の子が、飲食もままならないなんて悲しく感じるんじゃない?


「ああ、それは、デュエンファンだから仕方ない事と思います。仕方ない事をアレコレ考えるよりか、今は美味しい物を頂く事を考えるのですわ。」こんな健気な事を言われたら、あたしだって命を投げ出してでも守って上げたくなるもの。


 その後もこのお姫様は素敵に変わってるけど、凄い天才で、あたし達家族にとっては花の妖精さんじゃなくて幸運を運ぶ小さな女神様なんだって思うことが沢山あったよ。


 カレン様か〜、こんな方が次の公爵様になってくれれば、あたし達平民の生活もきっと良くなるよね?





<黎明期編>を早く執筆したいと思いますので、しばらく発表スケジュールを月曜日の0時からの固定では無く校正したら直ぐにアップします。後編は、予告しません。


カレンに聞いた所、"おはよう"といって挨拶をする相手に、"こんにちは"の時間であっても"おはよう"と返すのは人付き合いの基本だそうです。だから、自己紹介で2節の名前を名乗られたら、自分も2節で返した模様です。前世、剛の時の条件反射ですよね。

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