カレンの願い。<幕>
本日で<幼少期編>に、ひと幕を下ろさせて頂きます。では、本編をお楽しみください。
………クレマンが、「クリスチアーヌ様、マダームのお具合は、どういった感じなのでしょうか?」とクリスに聞きます。「まだ、2、3日は動かさない方が安全でしょう。」
「と言いますのも、ムシュ・ヴィヴィエが先にマダームを連れ帰りたがっている様子なんです。」「あのご夫婦だけは、手がかかるんだからもう!クレマンさん、ムッシュをお連れして貰えますか?」
「え⁈え⁇なぜでしょう。」「もうもうもう、こういう時の男子たらニブイんだから、もう!」「申し訳ありません…。」
「いーい!奥様が身重な時は、旦那様が腰をさすって上げるのが最上なんです。そうしたスキンシップが奥様の愛情を誘って、引いてはお腹の赤ちゃんに良い影響を与えるんです。もー、あの夫婦ったら2人とも不器用なんだから!ムッシュを早くお呼びして頂戴。」
クレマンが駆け出すような音がしますと、フロンが口を挟んで、「お気楽が信条のクリスが、プンスカしているのって珍しいですね。」「あらフロン、ご挨拶ですわ。」
「貴女も見てて、こうイラっとしません?あのお2人、お互いに思い合っているのに、いっつもすれ違ってばかりなんです。こう、キーッとか、キャーッて叫びたくなります。」
「まあ、イラっとはしますが、だからと言って余計な口出しはご無用にされないと、あのお2人の関係をこじらせて仕舞いますよ。」
「でも、初めての妊娠って誰でも心細く思う物じゃありません?マダームのは表面が強気に出ているだけで、内面は傷つきやすい16の女の子ですからね。」
「そんなに、他人の恋路が気にかかるのですか?」「もち、あの2人くらい面白い夫婦は身近に居ませんからね。」「貴女も、他人の恋路ばかり気にかけていると、結婚が遠のきますよ?」
「まー!この18の乙女を捉まえて言う事?」"フフン"と、鼻で笑うのは多分フロンでしょう。「適齢期ど真ん中で悠長にしていると、後2年で行き遅れと言われますよ。」
「そんな貴女も、来年は行き遅れと呼ばれる歳じゃない。」女同士の火花が、軽く辺りに散っている感じです。
2人とも大きなため息を吐いて、「歳の話は止めません?」「ええ、そうですね。自分に返って来るだけ痛いですから…。」そこで手打ちにしたみたいです。
"ポン!"手を叩いた音がして、「では、こうしません?行き遅れになりそうだったら、マダームにお相手を選んでもらったら良いと思います。」「それは、良いアイディアですわ。」
「マダームも、ご自分の恋愛に疎いだけで、人を観る目は有りますもの。」「ええ、ご実家からお連れになられた側仕えの方達は、皆さん良縁を世話して頂いて、円満に過ごされておいでみたいです。」
「それは、家格より人格を重んじるマダームの選定眼だから夫婦円満になるのですね。」「そうそう正に、家格といえばクリスのご実家は神官で本家は子爵のはずですが、自由にお相手を選ばれて良いのですか?」
「マダームなら文句が来ても、うまく丸め込むから大丈夫でしょう。そんなフロンも、本家は伯爵ですけど気にされないのです?」「はい、最初から家格を気にする様ならマダームの傍で騎士はしません。私は、伯爵家のはみ出し者ですわね。」
「私も同じで、マダームが"サラザードの聖女"、"貴族院始まって以来の才媛"、"領政改革の鉄人"、"物創りの天才"と数多の称号が有ったとしても、あの方の魅力の全ては語りつくせないと思うわ。」
「ええ、私の本家がどうで有ろうと、生れつきの爵位より、見る目の厳しいマダームに与えられた騎士爵の方が何倍も価値がありますもんね。」
ため息を吐いた音がしてフロンが、「マダームが、男の方だったら良かったのに……。」「本当、男の方だったら、例え50や100の妻を貰われても、私達も一緒にもらって頂きますですぅ〜。」
は〜〜……、モテモテは良いのですが、50、100という数の妻を貰っても、普通の男なら身が持たなくて死んでしまいます。今は、夫1人でさえ手に余っていますのに、"もし"なんて考える余裕もありません。
天幕の外で、お喋り雀がピーチクパーチクと大声でさえずるから煩くて、とっくの昔に目が覚めて2人の会話に耳を傾けておりました。
旦那様がクリスに呼び付けられて、何やら説教をされている模様です。シルフィー達に聞くまでもなく丸きこえで、要約すると『身重な妻を大事にしなさい!』位のことです。
クリスさんに心配して貰わなくても、別に訳あり勢い結婚なんですから、好いた腫れたの結婚では無いのです。お腹に赤ちゃんが出来て、やっとアノ事を許す気になったと言うのに、その矢先に無断外泊なんて反省してない証拠ですわ。"プンプン"
だいたい、私が男の方をお慕い申し上げるとか考えられません。クリスは私の前世が男だって知らないから、機嫌が悪いのを寂しくて拗ねていると勘違いしているのです。
「マダーム、お目覚めですか?」私が大袈裟に咳払いをすると、クリスが聞いて来ます。「ええ、目覚めておりますが、朝の支度が済んでは居ないので側仕え達を呼んで頂けますか?」「畏まりました、直ぐにお呼びします。」クレマンの声で、返事がありました。
人前に、寝起きの無様な姿は晒せません。薄化粧を入れて朝の支度をするのに、タップリ小1時間またせて皆を招き入れました。
「あら、おはよう御座います。クリスチアーヌ様、フロリアーヌ様、クレマン様、そして、あ・な・た、ご機嫌麗しゅうございます。」1語1語を強調して喋りますと、流石に皆さん私が怒っているのを感じて息を飲んで慎重な対応をします。
「マダームが怒ってますぅ〜〜、怒ってますよね?」クリスが、両手の拳を口辺に当てて上目遣いで聞いてきます。さり気なく、肘で胸を強調する所があざといポーズですが、今の女の私には通用しません。
お母様譲りの氷の微笑みで、「何かありました?怒っては居ません。クリスチアーヌ様、夫婦仲をご心配いただき誠にありがとう御座いました。」これもお母様譲りの綺麗なカーテシーで軽い会釈をすると、「嘘!もの凄く怒ってらっしゃいますぅ〜。」
「それよりも、昨日の戦の反省会をしたいと思いますので、クレマン様は私の幕僚に直ぐに集まる様に声をかけてくださいますか?」ホッとクレマンが息をついて、「直ぐに行ってまいります!」と元気よく駆け出します。
クリスが旦那を肘で押しながら、"ほら、早く謝ってください。奥様がこのモードになったら、ともかく謝って気を落ち着かせるのが1番なんですぅ〜"とヒソヒソして居ります。
残念ながら、私の地獄耳は聞き逃しません。私は一族の中でも特別にアールヴの血が濃いらしく、集中すれば600トワ先の人には見えない風の動きや標的の動きなんかも見通せます。もちろん、普通の可視光以外の光線の反射も見えますから夜目も効きます。
先祖返りかしらね。昔から耳が尖り気味でしたが、最近では更に長くなった気がします。でも、赤ちゃんが出来た所為か胸は膨らむし、お尻は大きくなるし、全然スレンダーなアールヴらしく無いです。
そりゃー、最初は自分の体が魅力的に成るのは嬉し恥ずかしなのですけれど、毎日、男どもの好奇な視線に晒されると、分かっては居てもゲンナリしてしまいます。
この世界には、シルフィーみたいな元素精霊以外に、肉体を持った亜人といわれる種族がいます。シレーヌやアールヴはその一種族で、人間と交配可能という事は、元素に色濃く影響された元人種と考えています。
シレーヌは特に人魚の男は居ませんので、人間の男を攫って子供を増やすそうですから、まず間違いは無いでしょう。
「あなた、そこで謝ってばかりでは無くて腰をサスッてくれるのでは無くて?クリスさんによれば、3日間の安静だそうですしね。」
何やら夫の言い分では、お腹の赤ちゃんと私の為に黙って釣りをしに行って、沢山の欧州鱸の大物を釣って帰ったそうです。
そうしたら私が出陣をしていて、慌てて追いかけて来たんだそうです。私は指折り数えて、もう4〜5日前の話では腐って無いのかと聞いたら、1匹づつ丁寧に捌いて塩をしたから大丈夫ですって。
2ピエ〜2と半ピエ(約60c〜80cm)の丸々とした欧州鱸は、日本で一般に見られるシュッと細い丸鱸と異なり平鱸に近い体高のある肉厚な鱸です。持って来たのは、30本ばかりだそうです。
まあ、お腹の赤ちゃんの事を考えられるなら、父親落第では無いかなと許す気になりました。それでも罰は罰なので、人前で妻の腰を揉ますのは罰?になるはずです。きっと……。
私の天幕に、幕僚達が顔を揃えました。横になって、軍議を開く無礼をお詫びします。
フランソワ、
ジョルジュ、
アドリアン、
ジルベール=ブノワ、
ジル=マリク
マリクの様に、2つの名前を引っ付けて呼ぶのは、大家族で似た名前を持った人を識別する為に、この国の人は好んで使う呼び方です。連れて来ては居ませんが、領にはまだセドリックとアラン=カンタンを残して来て居ります。
2人とも軍事にかけては、堅実な用兵か奇抜な用兵かの違いこそあれ、まずまずの俊才です。上手く連携して、相乗効果で自軍を強める利点を買って残しました。
「ジョルジュさん、残りの兵糧はいかほど?蜂蜜漬けルイユと、ライテ・エヴァは万全ですか?」「はい、緊急用の保存食を入れて、約1週間分はタップリと確保をしております。」この時期は、シューとポマとポムは常備させて居ります。
「それでは、旦那様のスズキの塩抜きをして、切り身を蒸したキャベツの葉に味噌とルイユも巻いて、油を敷いたダッチオーブンで蒸し焼きにするようにして我が軍に配ってくださいませ。」「賜りました。」ジョルジュは、クレモンさんの3番目の息子さんです。
ダッチオーブンはこの世界には無かったので、私の異世界知識から導入しました。フライパン状の蓋の付いた鉄鍋で、下で肉を蒸し焼きしながら上でソースを温めたり、上に炭火を置いてオーブンとして簡易パン焼きにもなります。
アドリアンが、「あの坊ちゃん、マダームの言う事の10分の1も理解できて居りやせんぜ?」「それで良いの。あの子は、余り愛されず育ったので、私が弟として愛して上げている事が伝われば良いのです。」
フランソワが、「へえ、欲張らないのですか?」「あの子には、法がどこから来て何を表しているのか、理屈抜きで愛されている温かみから学べば良いでしょう。」
「人には持ち分が有りますから、頭の良い人には賢い言い方、実践派には感覚的な伝え方が有るという事ですね。」「その通り、マリクは流石ね。口で言って聞かせるより、経験を通して感覚的に伝えるのが良策の場合があります。」
ジルベールも、「それで、理屈抜きのハーモニエ運動だったのですね。」「そうです。ハーモニエの意味のもう一つの狙いは、あなた方の様な人財を我が元に集める意味が有ります。現実的な施策と、理想的な呼びかけの間に込められた思いをキチンと読み取れる人達がよく集います。」
かつて、リンカーンは黒人奴隷解放を訴えましたが、解放奴隷に仕事を与える事に熱心ではなかったので、街に溢れ返った黒人の不行状が却って差別を助長する一因となったのです。つまり、現実的な物と理想は、常に一体で与えなければ無意味だと言う事です。
「私は、この戦乱に明け暮れる時代の中枢に法の正義を置いて、"人々を安寧なからしむ"という母の願いを実現する為にこの世に生まれたと確信するに至りました。法の正義とは、"due process of law(=デュー・プロセス・オブ・ロウ)"法律の適正まで求めるこの憲法の心臓部と言える法哲学によります。」
ジョン王の悪政(=悪法)を制限する為に生み出された立憲主義が、"悪法もまた法なり"と敗北主義者の戯言に使われて良いはずは有りません。
そもそも、その語源の元となったソクラテスの言葉は、"obey and do not do otherwise(=従う、それ以外のことはしない)"という意味で、処刑され行く彼がその理不尽な扱い(=悪法を良しとした訳ではない)から逃げなかったからこそ、為政者の暴虐が明らかになりました。
これは近代日本の黎明期、吉田松陰が残した言葉と同質です。松蔭先生は、『身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留め置かまし大和魂』この言葉が、幕府に鬱屈していた日本人の心にどれだけ響いた事か………。
「カレン様、ご高説は幾重にも賜りたく存じますが、今はお一人では御座いませんので、どうかご自身のお身体を愛うてください…。
………?……??、
カレン様?ああ、お休みになられましたか………。」
………これはきっと、お腹の赤ちゃんが私に見せてくれる幸せな夢………。
"夢の旅"(Karen Vivier)
Voyage de rêve
(ボヤージ・デ・レーヴ)
人生は、夢の布地。
La vie est un tissu de rêve.
(ラ・ビエ・エスト・アン・ティシュ・デ・レーヴ)
楽しくも悲しい、美しくも切ない糸を織った布地。
C'est amusant mais triste,Tissu tissé avec un fil magnifique mais douloureux.
(セスト・アミューズ・マイス・トリーステ,ティシュ・ティッセ・アベック・アン・フィル・マグニフィーク・マイス・ドゥルゥレック)
空の青さの向こうに希望を見て、
Voir l'espoir au-delà du bleu du ciel,
(ヴォア・レスプォイ・オーデラ・デ・ブル・デ・シェル)
海の彼方に吹く風の爽やかさを感じ、
Sentez la fraîcheur du vent qui souffle sur la mer,
(ソンティー・ラ・フラッシャー・デ・ヴォン・クゥイ・ソッフレ・ショー・ラ・メー)
水の流れのように私の体を包み、
Enveloppe mon corps comme un flux d'eau
(オンヴェロープ・モン・コープ・カミュ・アン・フルクス・デュア)
大地の熱はあなたのよう。
La chaleur de la terre est comme toi.
(ラ・ショーラ・デ・ラ・テレ・エスト・カミュ・トワ)
いつまでも貴方に包まれて居たい。
Je veux être enveloppé en toi pour toujours
(ジェ・ヴ・エテ・オンヴェローペ・エン・トワ・ポーア・トゥジュー)
そんな夢の物語。
L'histoire d'un tel rêve
(レヒィスト・ダン・テレ・レーヴ)
「………母さ…ま………。」私は、消え行く意識の中で、懐かしい母の事を想っていました。
「カレン様のこうした所が、堪らない魅力なんだよなぁ〜。」「ああ、まったく。見た事が無いくらい賢くてお強いのに、時々、16歳の少女?いや、もっと幼く可愛らしい少女に見える所が、何とも人を惹きつける。」
フロンが、「しっ、マダームがお休みになられたのなら、ムッシュを除いて皆様は別の天幕へお移りください。」男達は、肩をすくめてソッと夫婦の天幕を後にした。
〜〜〜〜〜
「よし、書き上げましたわ。」「何をで御座いましょう?」「私の機密文書です。」俺は、リーラにニコッと微笑んだ。
来年から、ヴァン・センヌ貴族院学園の初等部に通う事もあって、心の整理の為に久しぶりに日本語で届きようもない手紙を両親に出してみた。
[ご両親様]
育てて頂いたご恩は、とてもお返し出来る物では有りませんが、親孝行をせずに先立った不明をお許しください。ご両親様より先に死出の旅路に就いて、大変申し訳ありませんでした。
そして、驚かないで下さい。俺は、女の子に生まれ変わりプリンセスと云われる立場になりました。そう、公爵令嬢になってしまったのです。それでも、なんとか元気にやっています。
弟妹は元気にしておりますか?ご両親様に、お変わりは有りませんか?それだけが、心残りです。俺は俺で、こちらを何とか生き抜いて居りますので、俺の事で悲しみ過ぎてお体に障りがない様にお願い申し上げます。
こちらには、マ法という変わった力が有りワクワクして居りましたが、どうやら俺には使えない様で落胆しております。代わりに、そちらで溜めた知識と経験が、よく役に立っています。
<中略>
長々と書き連ねましたが、俺はこちらの両親とも上手く行っており、ご両親様の心配する様な事は一切ありません。俺の目下の願いは、この世界に生み出して下さった今世のお母さんを守る事です。
特に、このお母さんの願いは、"人々の為に"という尊敬に値し気高く美しくキラめいて居りますので、精一杯の力を込めて守り通していきたいと考えます。これは、今世を女に生まれついて変わる自分の、ご両親様に頂いた最後の男らしさになるやも知れません。
今は、母の願いに自分の願いを重ねています。
追伸:目下の悩みと言えば、プリンセスに生まれついてしまった為、身近に友人がなかなか出来ない事です。プリンセスの幼友達にと紹介されても、俺がお人形遊びに耐えられると思いますか?趣味と知識量に差があり過ぎて話が合いません。
平民に近付き過ぎるのは、ちょっとトラウマになる出来事がありましたので自重をしています。
そんな中、この前、俺にちょっかいをかけて来た面白そうな娘がいたのでご報告します。友達になれると良いな………。
あなたの息子、美神剛より。
〜〜〜〜〜
<領館茶会の間>
「どうかされましたの、お義母様?。何か、心浮かぬ顔で思案されて。」「ほほっ…、よく気づけましたねジュヌビエーヴ。」
「知っていますか、この菓子の出所を…。」「え⁉︎、クレモンが考案した物では無いのですか?」「それは、一般向けに公表している情報です。このタルト・オゥ・パタ・ドゥースや、カヌレと称する焼き菓子は、みな孫娘の発案による物です。」
「まぁ、カヌレとは、この表面は茶色くカリッとして、中はふんわりシットリと玉子風味が強い菓子ですよね?」「ええ、その茶色くカリッと焦げた表面は、型に蜜蝋を塗るからなのだそうです。」"…!!!"「まぁー!誰が、蜜蝋なんて発想を思い付くのでしょう…。」
「その他、習った事が無いハープが弾けたり、読み書き計算もヴァン・センヌの官吏が束になっても敵わないそうです。」「正に、神々のご加護が有りますね。」「そこが問題なのです。あの娘に神のご加護が有ろうと、我が家の血筋が色濃く天才だとしても、孫娘の発想は鋭すぎるのです。」
「それはどう言った意味でしょう?」「賢くあると言うのがお菓子作りや音楽程度なら問題はありませんが、領政にまで積極的に口出しをするのは、他人を遠ざけ女の幸せが遠くなるという意味です。実際あの娘の身の回りには、心許せる友人が少ないのが現状です。」
「それだけ博学多才ですと、傍に居ようとする人間も才能が無いと話も合いませんですよね。更に神々のご加護が濃いとなると、私なんかは拝んでしまいそうに成ります。」
「そこで、カロリング家の方にどなたか孫娘の婿に入って支えてくれる人物は居ないでしょうか?ひと回りくらい歳上でも構いません。その方が、話も合わせられると思います。カロリナとの融和を図る意味で、孫娘が推進するハーモニエとも合致しますし。孫娘は、多少変な所は有りますが、天才に有り勝ちな面なのと包容力があればカバー出来るでしょう。」
「畏まりました。実家に問い合わせて、相談してみます。お義母様の優しい心根は、きっとカレン様に通じる事でしょう。」
「ありがとう、そう言って貰えると助かるわ。」
ジュヌビエーヴは人好きのする柔和な笑顔の下で、"私のアルにロレッタ家を継がせたい"との黒い思いが立ち上るのを感じた………。
"夢の旅"は、カレンの母恋歌です。
今後の掲載予定です。次編は<黎明期編>となりまして、大きな事件が二つ起きます。一つは、カレンが事件を起こしてバーゼル領モンテローザに婚約名目で引き取られます。(大幅改稿後のプロローグを読まれた方なら、明らかなのでアープン情報とします。)他方は、カレンに取って(筆者にも)の重大な事件なので、情報は伏せさて頂きます。
プロローグの大幅改稿のキッカケとなったのは、話の取っ掛かりなのに作品全体の雰囲気が掴めないと言われた事です。ま、実際に1話だけ読んで素通りされる方が多かったのも有りますが、自分が読みたい小説を目指していたとしても、他人にお見せする以上は自己満はいけないと反省して改稿した次第です。
しばらくの休筆を頂戴して、5話ほどは書き溜めを行いたく存じます。従って、拙作を楽しみにしてくださる方には申し訳ありませんが、約2〜3週間程のお休みとなります事を予告させて頂きます。
尚、次話以降は、カレンが6歳に成るまでの番外編をリリースいたします。休筆は、以後です。




