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かぐやインパクト  作者: どらっくまん
輝久耶(神代掛流編)
9/49

5月12日(朝)ここで大人しくしていろ

===神代掛流の視点===

5月12日(金曜日)


【神代掛流】「父さんはもう出ていったのか……」


顔を洗って登校の準備を整えると、再び玄関へと戻る。

そこには、輝久耶一人が玄関に残されていた。


父さんが招き入れた場所から、まだ一歩も歩いていない様子だ。

純真無垢そうな瞳が俺を見上げている。

現実離れした成り立ちが、逃亡中の無垢な姫君様って雰囲気すら感じる。

じっと見つめてしまっていた俺を見つめ返しながら、小さく、ほんと小さく小首をかしげる。


俺は思わず目線を逸らした。

……喧嘩番長の飛ばしてくるガンにすら動じたことは無いのに……まさか子供に負けるとは……


父さんには頼む……って言われたが……これと言って何かしてやることとかが浮かばない。

俺は今から学校に行かねばならない。

……さっきまで、ベッドの上で学園を休む方法を考えていた事は、今は忘れておく。


俺が留守の間に、家の外に出て迷子にでもなったら困るから、まずは夕方まで、ここで大人しくさせておこう。


【神代掛流】「おまえ……輝久耶って言ったな?」


【朝姫輝久耶】「……うん」


女の子が小さく頷くと、長い髪が柔らかく舞う。


【神代掛流】「家の中のものは好きに使っていい」


【朝姫輝久耶】「……うん」


【神代掛流】「食べ物も、好きなものを食べていい」


【朝姫輝久耶】「……うん」


【神代掛流】「……カップ麺と生野菜しか置いて無いけど……」


【朝姫輝久耶】「……うん?」


首をかしげられる。蛇足だったか。


【神代掛流】「とにかく好きなものを食べていい」


【朝姫輝久耶】「……うん」


【神代掛流】「だから、とりあえず、俺が帰ってくるまでは、ここで大人しくしていろよ」


【朝姫輝久耶】「……うん」


【神代掛流】「迷子になるから家の外には出るなよ」


【朝姫輝久耶】「……うん」


【神代掛流】「おまえ、『うん』ばっかりだな?」


【朝姫輝久耶】「……うん」


【神代掛流】「(大丈夫かよ……)」


こいつを一人だけ家に残して、本当にいいのだろうか?

心配にはなるが、自分には学園がある。

一抹の心配をしながらも、俺は家を出て玄関の鍵を閉めた。


窓の鍵も閉めてあるし、これで家の中に誰かが入る事は無いだろう。

……内側から鍵を開けない限りは……


さて、これからどうすりゃいいんだろな……

透き通るように青い空を見上げて、ため息をついた。


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