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3.引きこもり中なのです

何度も書き直して、削ったりしたのに・・・。文章って難しい。

 勇者ラインハルトは現在、我が家に滞在中で、あと数日滞在予定なんだって。


 ・・・騎士団の訓練に来て4日も経ってないから仕方がない。こんな辺境の地まで来て、早々帰ってくれるわけないし。僕の心の平穏の為にも早く帰ってほしいものです。




 あれから2日・・・僕がラインハルトを見て気を失った日から2日が経過しているが、僕は寝台の上で過ごしている。


 ・・・部屋から出てないし、寝台の上。部屋から出なくても過ごせるっていいね。・・・でも動いてないのに、僕の体は疲れきっています。


 たまに食事や用事伺いに来る侍女や、様子を見に来る父や母に、魔力を抑えて接しているので、体力も気力も激減する。


 父に聞いたのだが、ほんの一瞬だけだけど大きな魔力を感知して、勇者様が僕の部屋に飛び込んだんだそうだ。でも寝台で眠る(失神中)僕と隣で普通に寝てるシンがいて、特に変わったことはなかったと・・・。


 う~ん、恐るべし勇者ラインハルト・・・ヤダヤダ。


 ・・・多分、使獣契約した時かな。


 もう一度シンと使獣契約できたから僕はとっても嬉しいけど、魔力の許容量的にも体力的にも、人間の僕には厳しかったようで、只今知恵熱ならぬ魔力熱中。



 この大幅に上がった魔力が問題で、なかなか熱が下がらない。急激に上がった魔力が制御しきれないと暴走を起こしてしまう。・・・僕の部屋が吹き飛ぶのは困る。


 今、僕を中心に風が渦を巻いているような状態だ。感情の起伏によって収まったり、暴走しそうになったりで、気力も体力も使ってしまう。いろいろ考え過ぎないようにしないと・・・。


 魔力を消費しないといけないのだけど、外で魔力を放出する訳にもいかないし・・・。





 ポトッと風の渦に巻き込まれたバラの花が、僕の前に落ちてきた。今は、ちょっと魔力を抑えられてるみたいだ。バラの花は散りかけているが手を伸ばした。


 ---痛っ・・・。


 バラの棘が指に刺さり、プクリと赤い血が出てきた。地味に痛かった。指先に乗った滴のような血見て、ふと思いつたのが魔力の圧縮。


 ・・・人間族でも魔石が作れるのか?


 魔族では、自分の体にある魔力を圧縮し、結晶化させる事が出来る。自分の魔力を結晶化させて、魔力不足に陥った時に使用する為だ。これは上級魔族では当たり前の事で、自衛手段の一つとして行っている。


 それともう一つ。結婚の申し込みをする際に意匠をこらした魔石の結晶を相手に贈るのだ。これは、長い年月をかけ作りあげる結晶で、恋する愛しい人を思い浮かべながら結晶化させる事で恋人を守る守り石となる。これを贈り合う事で婚約の証となる。


 これを贈るのは、互いに魂の半身と想うほど恋い焦がれる『唯一の者』だ。

 二人が、出会うまでの男女の恋愛事情は魔族も人間族も変わらないが『唯一の者』に出会うと、他の異性に興味がなくなるらしい。

 人間族の様に離婚はなく、魔族は死が二人を引き離すのだ。



 ・・・僕の魔石どうしたかな。



 シルクリース様の遊び相手として、会ったてすぐに作り始めた魔石。僕の『唯一の者』は、シルクリース様だと思ったんだ。

 成長期の子供には『唯一の者』を判断する事が難しいとされていて婚約する事が出来ない。一時的な感情に流される事が多いからなのか、判断が難しいらしい。大人にならないとはっきりとわからないみたいだけど・・・僕はシルクリース様が特別だと感じた。


 子供のほんの小さな恋心だったのかもしれないが、今でも想い浮かべる度にズキリと心が痛む。魔力をシルクリース様への想いを乗せてこの指先に---。


「----っ、できた。」


 それは、小さな滴型の魔石。真っ赤な血は、僕の魔力を含み塊となってコロンと手の平に収まっている。棘が刺さり滲み出た血の雫が塊になった。本当に小さな魔石。


 これを長年かけて魔力込め作りあげて周りを固めていけば、婚約の証の石にする事が出来るだろう。まずは小さな一歩から。


 想いを込め作り上げ、・・・次は、贈りたい。


 漠然と魔力を体内に抑えるのではなく、魔力を体内を移動させ、魔石を作り体内の魔力を消費する事で、魔力の暴走は抑えられそうだ・・・目的もできた。



 魔力熱が下がるまで自室でいろいろ考えようと思う。・・・対策練らなきゃならないし、ラインハルトには会いたくないし。他の勇者なら歓迎するかもしれないけど・・・ラインハルトだけは、駄目!絶対駄目です。





 そうそう、使獣契約を行った事により、魔力が上がった・・・中級魔獣くらいなんだろうけど。でもそれは人間族にとっては大幅に魔力が上がった事になる。

 記憶を思い出す前は一般人の2倍くらいだったのが、記憶を思い出してから10倍、使獣契約をして、その倍くらいになったようだ。魔力は目に見えるものではなく、通常は感じるもので、魔力量を量るには、水晶の結晶を使用した魔道具が必要になる。


 魔力量は魔族には遠く及ばないけど、下級魔族くらいにならないと・・・『光の泉』には辿りつけないのかなぁ。


 これくらいの魔力量だと魔法士団に入る事ができるはず・・・下っ端だろうけど。魔法使いの花形職業だ。

 騎士だと身体強化を行い戦闘、魔法攻撃!カッコイイよ。魔法で不意を突き、剣で攻撃!なんて事もできる。


 ---打倒!勇者ラインハルト・・・会う気は全くないけど。


 あっ、---僕・・・剣術苦手。



 剣術はそのうち・・・当面の目標は、魔力増加と現状の把握に努めたい。僕は勇者に殺された時と同じ10歳の子供で、一人で行動する事が出来ない。



 でも僕は、魔力量を伸ばしシルクリース様に・・・会いたい。




 魔力量を増やすには、魔力を使い切る・魔素の多い場所に行くなど、方法はあるが、おいそれと上がらない。人それぞれ魔力を体内に留めておく許容量というものがあり、オーバーすると、気分がわるくなったり、失神したり、動けなくなったり、暴走したり、体調不良を起こすのだ。その度に激しい眩暈や痛みを伴うこともあり、難しいものなのだ。といっても、普通の人の場合はそんな機会はまったくないし、方法は知られていない。


 魔力量を気にするのは貴族くらいなものだし。


 ちょうど良いのは、コップが溢れ出る寸前をイメージする量の魔力を体内に入れるのが丁度いいんだ。

 でも、魔力を渡してくれるのは、シンしかいない。そんなちょうど良くなんて、シンには難しいしので、僕は倒れる=気絶の覚悟で魔力をもらう。


 当分寝台からでれないかも・・・。


 毎日寝る前に、出来るだけ魔力を使い切り、シンの魔力を体内に取り入れる。まぁ、寝る=気絶を日課にして繰り返すのだ。その時、シンの魔力に僕が殺された後の記憶を思い浮かべながら受け取る事にした。魔力を受け取り、受け取れる量だけの記憶が見れるし、いい案じゃない?受け取れるだけの量というのは、許容量より多くなるから、そこで気絶するという事だ・・・。




 ちょっと思ったんだけど、何故ラインハルトはあそこにいたんだろうか?力試し?


 こればっかりは、ラインハルトに聞かないとわからないかなぁ・・・10年以上も前の話だし。

 でも、絶対聞きに行ったりしないし、関わらないから。・・・気になってても。これ大切!絶対!




 『魔素の森』は、魔族や魔獣が住む場所場所となっており、森を抜けると魔族のもっとも魔力の多い一族が納める人間で言うところの魔族国となっている。人間族と魔族は交流がないから国の名前なんて知らないんだろうけど。

 基本的に、魔族は人間族に無関心で、『魔素の森』を抜けてこなければ何もする気はない。基本、平和主義者です。


 魔族の中でたまーに『外の世界を見てみたい』とか『人間族に興味があるんだけど』とか、ちょっと大人になっても腕白なのが『力試しに・・・』とか、『我に敵なし!』とか言って、魔法攻撃しながら遊びに行くんだそうな・・・。

 そんな魔族は、もちろん人間族の討伐対象となっていて、魔族を討伐してくると、勇者の認定を教会からもらえるらしい。



 ちなみに、ラインハルトが教会から勇者認定してもらえたのは、僕のおかげ!!僕は何もしてないのに、ものすごい迷惑だ!!!



 そんな魔族がいるせいで、平和にのんびりと暮らしている魔族も見境なく、人間族は討伐対象としている。『魔素の森』の奥にくらしている魔族には、手出しできないんだけど、ラインハルトの様に多くの魔力を保有する人間は、『深緑の森』を抜ける事ができたりするから脅威なんだよ。魔力の量が多いから魔獣も強くなる。


 魔獣は普通の獣よりも強く、少しだけ血の気が多い。出会いがしら襲いかかることもあるから、人間族に恐れられている。

 魔族が魔獣を操って人間族の住む村や町を襲っている思われてる。

 人間が、子供の魔獣を殺したり、連れ去ったりしたから親に襲われるという事もあるとまでは、考えてはいないみたい。

 本当に、魔獣はちょっと強い獣なんだよ・・・。たまーに腕白な魔族が、魔獣と一緒にって事はあるかも知れないけど、ホントたまーにだ。



 あまり知られていないのだろう、人間の町にこっそりと魔族は、魔力を体内に抑え込んで潜んでいる。熟練した魔法使いにしかこの違いは判らないようで、小さな町にはそんな凄腕の魔法使いはいないから見つかることはないらしい。髪は月の光を浴びないとわからないから、その前に月の光が届ない場所に移動すれば問題ない。ちょっとしたスリルと人間族特融の料理とか、装飾品・魔道具を求めてやってくる。

 魔族の街には人間族の作った魔道具や装飾品・ドレスなどを扱う店や、料理を出す店があった。人間族が使う魔道具を動かす魔石を作って・売って・物を買い、買った物を魔族に売る・・・それはそれで、楽しそうだ。



 魔族と接触できればいいんだけど、フラフラ街を歩いて出会えないと思うんだ。・・・でも出来れば、いろいろ話がしたい。




 シンが僕の傍に居るのだから、シルクリース様は無事に城に帰ったはずだ。それは心配していない。


 魔族の父と母は、元気にしているのだろうか・・・魔族はなかなか子供は生まれないから、一族は子供を大切に守る。それなのに子供を亡くすって・・・成人前になんて事はまずない。

 魔族は、子供から親の魔力を感じとる事が出来るから、自分より上位の魔族の子には手を出さない。魔王側近を父に持つ僕に手を出す事はしないから、ラインハルトの事は想定外の出来事なのだ。



 種族が違う人間族が魔族を調べるって・・・難しいね。




 今までは、魔族は無関心だったが、それは今でも人間族に無関心でいるのだろうか?

 僕があの場所で殺された事により、何かしらの対策が練られ同じような事が起きなければいいと思うが、もし魔族が攻め込む事を考えていたら・・・イヤ、それはほとんどないのかな。一つ感情で動く事はしないと思うのだ。



 でも、人間族が『深緑の森』を抜け魔族を討伐する事を考え始めているとしたら、僕はどうするのだろう。


 ラインハルトの単独での行動であれば、問題は起こらないと思うんだ・・・もう10年以上前の話だから、今更なにもおこらない事を願います。




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