酷い状況
ゆっくりと四人を見回すと、ラフは話し出した。
とりあえず、わしがあなた方をこの世界に呼び出した理由をお話しますかな。結論、つまりわしらの願いは"この世界を救って欲しい"。実は、この世界は非常に困った状況にあるのです。今から約二年ほど前の事。この世界の中心にある世界樹に巨大な雷が落ち、その衝撃で世界樹は枯れてしまいました。世界樹は悪しきモノを封印していた、とても大切な木なのです。悪しきモノは、…そうですな、魔物と言えば分かり易いですかな?悪しきモノは世界樹の近隣の町や村を襲いだし、多くの人々が犠牲になりました。兵を送り抵抗したもののてんで効かず、悪しきモノは日に日に勢いを増していきました。打つ手もなく先人の知恵を借りようと古い書物を紐解くと、かつて同じように悪しきモノが現れた時のことを記した手記が見つかりました。もしやと思い、読みすすめると…。そうです、あなた方ニンゲンをこの世界に呼ぶ方法が記されておりました。当時の長が記したのであろうその手記にはこうありました。
『ー悪が蔓延ったこの世界を救ったのは、遠い異世界からやって来た"ニンゲン"という種族の方だった。その方は我々には無い未知の力を使い、この世界を平和へと導いてくださったー』
これを読み、わしらは最後の望みであるニンゲンの方を呼びました。そして呼びかけに応えてやって来たのがあなた方四人ということなのです。
穏やかに話すラフ。しかし、その内容は酷く辛いものだった…。