「飴。」
ずっと前から好きな女の子がいた。
高一のときに同じクラスになって、高三のときにまた同じクラスになった子。
あの子はいつだって笑顔だった。
あの子はいつも楽しそうに笑っていて、みんなもつられるように笑っていてクラスの中心にいつもいた。
昼休み――僕は教科書を片手に持って、なんとなく廊下の突き当たりにある使われない教室に行ってみた。
何も無いと知っているのになぜか気になったのだ。
ガララッとドアを開くと、入口の反対側である窓際の席であの子が一人で勉強していた。
「あ……あのさ。ここ使っていい?」
僕は入口のすぐそばにある机を指差した。
「あー…………ごめん。人を待っているの、ごめんね?」
あの子は少し困惑した素振りを見せつつも、両手を合わせていつものように笑いながら謝る。
「いいよ、いいよ、気にしないで。」
僕はただ苦笑いを浮かべるしかできなかった。
僕はそう言うとドアを閉めて立ち去ったとき、一人の男子生徒とすれ違った。
僕は数秒遅れて振り向き、その男子を目で追いかけた。
普通ならそのまま無視しているのに、なぜか彼が気になった。
彼のスリッパの色が違うんだ。
この学校では、階で学年の教室が異なり、スリッパの色でも学年で異なる。
僕と同じ三年生は赤茶色で、彼の黄色のスリッパは二年生の証だ。
しかも、ここは廊下の突き当たりで、行く先は限られる。
だから僕は気になったんだ。
案の定彼は僕とすれ違った後、あの子がいた教室に入った。
教室に戻っても思考のうまく回らない僕の頭は、さっきのことをずっと考え続けていた。
分かったことはあの男子は、体育祭のときに同じブロックだったということと、あの子と違う部活動であるということだ。
「あの男子とあの子ってあんまり関係がなかったと思うけどなぁ…………話題にも上がらないし…………。」
ふと時計を見ると、昼休みは残り8分だ。
「気分転換に何か飲むかな〜。」
僕はそんな独り言をつぶやいて、一階の自販機へ教室を出た。
ジュースを片手に階段を昇っていると、目の前をあの子が横切った。
「あっ、――――。」
僕は無意識にあの子を呼びとめた。
「あー、――――くん!
さっきはごめんね〜。」
「あ、こっちこそごめん。…………それとさ。」
僕は二人の関係としての考えられる一つの答えを予想した。
「ん、なに?」
「あの後に僕と入れ違いに入って行った二年生って、もしかして……――――。」
僕は言葉を濁し、うつむいた。
おそるおそる顔をあげると、あの子は顔を赤くして驚いていた。
「あちゃー……えっと〜……その〜……あの〜……うん。
ま、まぁお詫びにこれあげる!!」
そう言ってあの子はあわててポケットから何かを取り出して、僕に手渡すなり小走りで教室へ急いで行った。
手渡されたのはミルク味の小さな飴。
あの子らしいや。と言うと笑いが込み上げてきた。
僕はそれを口に入れた。
「……………………甘い。」
ほのかに温かくて濃厚なミルクの味が甘ったるくて…………少しにがい。
そして、終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
作品を読んでいただきありがとうございます!
センター試験も終わりまして一段落ってことでひさしぶりに書きましたw
この話でほんとにあったのは
自分が廊下の端の教室に行ったこと(先日に後輩たちがなにかちゃかすようにのぞいたりしてて気になったというw)
教室にあの子がいたこと
出たときに彼氏の2年生とすれちがったこと
昼休みの終わりごろに聞いたら飴をもらったことw
それだけですww
感情とかそういうのは
あ、これ失恋話にもってこいじゃね?って思ったからですb
んでわ
また次の作品も読んでください~
P.S.感想どしどしください
全作品で!
ささいなことでも!
この文章はこうしたほうがいいかも!!
などなどよろしくです~