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Secret Fable  作者: ヨエ団
序章
7/15

地下生活152日目


 朝だ。


「ふぅ……もう5ヶ月か」


 今や習慣となった、カレンダーに×を付ける行為をしながら呟く。


 私は今とある事情で家を離れ、前とは全く違った場所で生活している。

 だからといって、留学や、はたまたホームステイ、という訳ではない。

 実験の為、である。

 その実験とは……



 地下生活。



 そう表現するのが最もこの実験の主旨を形容出来ていると言えよう。

 地下生活、と言ってもモグラやミミズのような地面を掘って移動するといったような生活ではなく、地下に大きな空洞を造り、その中で生活しているのだ。

 その大きな空洞の中に建てられた一軒のアパート。

 その中の103号室が私に割り当てられた部屋である。


 先ほど朝と言ったが、何故地下にいるのに朝であるのか分かるのか、というと時計がある、という事もあるのだが、単に外が「明るい」からだ。

 太陽の光ではない、人工の光。

 それを使い、昼夜を表現しているのだった。


 では、何故ここまでして、地下で暮らしているのか。

 答えはただ一つ。

 絶滅しないためだ。


 絶滅、と聞いてもピンと来ないかもしれないが、今地球は異常気象に見舞われ、台風や地震、津波に竜巻といった、人間では対抗しようもない災害がたくさん起きている。

 それが発生しない場所、それが地下だ。

 まあ、地震が起こらないのは、単に地震のない場所を見つけただけなのだが。


 「でも、地下には水も食料も何にも無いじゃないか、生きていけるはずが無いだろう?」と、思った方もいるだろう。

 安心して欲しい、そんな事起こり得ない。

 地下には野菜工場があり、ほぼ自動で食べ物を生産してくれる。今では米や麦なども作ることが可能なので、炭水化物もバッチリ取れるし、大豆もあるのでたんぱく質も取れる。植物性油などで脂質も取れるし、ビタミンミネラルは言わずもがな。

 また地下であるため、地下水も豊富で、いざとなれば海水を下してきて真水にすることだって出来る。

 つまり、ほぼ無限に暮らしていくことが可能なのである。


 コンコン。


 お呼びのようだ。


「朝ですよ~、起きてますか~♪」

「ああ、起きている」

「ご飯出来てるので食堂に来て下さいね~♪」

「分かった、今行くよ」


 ではまた、人工の食料を食ってくるとしますか。

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