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最終話 全てから虐げられた俺は━━━


 深緑の鎧を着た洗脳野郎。 

 その腕には、白い肌に黒い髪、まるで生気を感じないロリをお姫様抱っこしていた。


 クソ野郎……子供まで洗脳してやがる。

 そんな最悪な奴が出てきた禍々しい門はやがて閉じて、消えた。


「ブレイド無事だったのね……!」


「うん。信じてた」


「……その子はなに?」


 リーシャとクゥが駆け寄り、ノーリィがロリに対して疑問を呈す。


 ここだ!


「みろ! こいつのこの姿を! 門の中から自分のハーレムメンバーとして、幼い子供を誘拐してきたぞ! これが洗脳の証拠だ……!」


「黙れ」


「うごっ……」


 黒髪の色白ロリに手を向けられた瞬間、喋れなくなってしまった。


 どういうことだ……!


「事情は聞いてる。私は罪人庭園の管理人。事が終われば帰るつもり。」


 どこかホッとしたような表情のリーシャとノーリィ。

 ミディルは少し脂汗をかいているようだ。


「その男が魔神の化身なのは間違いない。しかも、完全に魔神の精神ごと取り込んで一体化してるからもう切り離せない」


 俺が必死に謎の拘束から逃れようとしている間も、ぺちゃくちゃと喋り続ける。


『太郎〜! 頑張って~! あの子の洗脳も解いてハーレムに加えるのよ!』


 うおおおおお!

 頑張るぞデメリ!!

  

「その上で、この男は膨大な普通の魂を殺めている。良くも悪くもない、普通の魂を。」

「なんだと……!」

「それじゃあ、私たちが魔神を呼び戻そうとしたときにこの男と一緒に転移してきてた死体の山は……」


 黒髮ロリは光を帯びて、その黄金の瞳を輝かせながらこちらを見る。

 クソ、なんか不快感がやべぇぞ!


「んんん……っ!(みるな!)」

「ブレイドたちが転移魔法を使った後に見た死体の山は、この男の故郷で魔神の力を手に入れた事で増長したこいつが築き上げたもの。それも魔神以上に無意味に、幼稚に、感情のままに、殺している」

「……テティ、この男を倒した途端に魔神として復活する可能性はあるのか?」

「いいえ。強烈な衝動によって覚醒する可能性はあったけど、今のこいつの様子を見る限り大丈夫。そのまま殺したら私がまるごと連れて行く」


 


「——そうか。」





 黒髪ロリを下ろしたクソ男は、こちらを見て見下してマウントを取っている。


 どこまで卑怯なんだ!


「この選択は、男の故郷のためでもなく。俺の傲慢だろう。しかし……魔神の力を悪用したのはあくまで彼だ」


 剣を構え、こちらに対峙する最低最悪の洗脳クソ男。

 その構図は初対面の時のようだった。 


「ええ。ブレイドだけに罪は背負わせないわ」


「どこまでもついていく」


「クゥは、ブレイドと一緒なのが当たり前」


 不意に、口がふさがれているような感覚が消えて喋れるようになった。


 チャンスだ!

 俺の神勇者の聖なる言葉を浴びせてやる!

 洗脳野郎からハーレムメンバーを奪い返してみせるぞ!

 

 それで事が済んだら序列決めだ!


『もちろん私が一番だもんね〜?』


 もちろんだぜ、デメリ!!!


「洗脳を解けよ、クソ野郎! ハーレムは全員を愛していなければ許されないんだ! リーシャ、ノーリィ、クゥ、アムレアス、ミディル! 目を覚ませ……! その男には愛がない! 俺の寛容さ、謙虚堅実さ、そしてなによりこの身から溢れ出る優しさ……! この男とオレを比較してみろ! 本当の愛が見えるはずだ!」


「えぇ……。本当に、色々とひどいなお前」


 アムレアスがなにか言っていたが無視する。

 お前は最悪洗脳されたままでいい。


「貴方にブレイドのなにが分かるというの」

「神……ゴッド。いつも変なことばっかり言って、大変だった」

「死ね」


 なぜ洗脳が解けないんだ!


「というか、わしをブレイドのハーレムにいれるのはやめろ」


「じゃあ俺のハーレム……」


「あほか」


 うぉぉおおおおお!!


 ぬ!!!


 デメリへの愛で無限の力が湧いてくる……!


「俺のハーレムだあぁぁ! デメリと一緒に酒池肉林パーティイイイイイ!」

『もう! なんなのこいつら! 太郎、こっちにおいで! 私たちの愛を見せつけてやろー!』


「お前ら! 俺とデメリの愛を見ろ! 正気を取り戻せええええええ!!」


 全力で腕を広げるデメリへとダイブすると、その身体で優しく受け止めてくれた。

 うひひひり……!


「よだれ垂らしながらソファにダイブしてやがる……。こいつ頭がおかしくなりだしたぞ……!」


 

 ◇◇◇◇◇



「私は現世の人間を、魔神の化身とはいえ直接連れていく事はできない。」


「わかっている。俺たちの不始末だ。しっかりと俺自身でケリをつけるさ。」


「…………今の彼は完全に無防備。簡単に終わると思う」


 顔を上げると、数多のデメリたちがめのまえにいた。


 なーんだ、デメリいがいのたくさんのデメリたち、さいしょからそこにいたのか。

 さがしたぜまったく。


 デメリ、デメリ、デメリファトスはメインヒロイン。

 たくさんいて、おっぱいが大きくて、心が広くて、グランドマザー!


 ゴロゴロゴロゴロ。


 デメリの上で右へ左へ転がり続ける。

 はぁ、これが真実の愛だ……。

 

 デメリこそが俺の世界。

 俺の……!


 

「——君は殺しすぎた」

「うっ……!」



 その瞬間、グサリと腹を突き破る剣の感触によって、俺は初めて目の前にクソ男が立っていることに気が付いた。


「おまえにとって、ハーレムってなんだ? ……なんで洗脳してまでハーレムを作ろうとするんだ?」


「ハーレムを作るんじゃない。彼女たち一人一人を愛しているんだ」


「だったら。洗脳をせずに俺を見習って……」


「君は少し、客観的に物事を考えた方がいい……」


 剣が引き抜かれ、身体が崩れ落ちる。


 自分の命の灯火が消えていくのがわかるのと同時、心の中にはデメリファトスの笑顔が思い浮かぶ。


 そんな彼女への謝罪の気持ちが湧き上がった。

 

 すまん、デメリファトス……君を残して俺は逝ってしまう……。


『いいんだよ。私はー、いつでも太郎のこと、包みこんであげるんだから』


 ああそうか、今までの人生の全ては無駄じゃなかったんだ。



 ——そして俺はデメリの導きの元で天に昇っていくと、そこには俺のハーレムメンバーたちが出迎えに来ていた。


『ごめんなさい、神ゴッド様、私達目が覚めたの!』

『あのクソ男のことを忘れさせて……』

『……ん、クゥ神ゴッドのこと大好き』

『素直になれないわしを受け入れてほしいのじゃ!』

『神ゴッドくん、大好きー』


 洗脳が解けたリーシャやノーリィ、クゥ、ミディル、ヴァイナそして数多の現地ハーレムメンバーたちが住まう天国。


 アムレアスがいないのはあいつがそれまでの存在だったってことだな。


『しょうがねぇなぁ! よし、今はデメリが序列一位だが、お前たちの態度次第で上に上げてやるぞ!』

『『『『『神ゴッド様ぁぁぁ!』』』』』


 はははははははははははは………

 はははははは………

 ははは……


 


 ◇◇◇◇◇

 



 ……ふと気がつくと、赤い沼の中にポツンと一人立っていた。


『嗚呼ぁぁぁぁぁ』

『あいつが悪い……あいつが悪い……あいつが悪い……』

『あたくしこそがシンリ……みんなダマサレているの……』

『ゴミが……』


「うああぁああ!!!お前ら何だよ!何なんだよ……!」


 辺り一面に広がる、土黄色で夢遊病のように歩き回る人間たち。




「俺は神ゴッドだ……! ハーレムメンバーをどこにやった……!」




 不快な奴らを力を使って消し飛ばそうとするが、なにも起きない。

 まるで俺の本来の力が目覚める前に戻ったようだ。


『くくく……お前は何を言っている……? ここは罪人庭園……その罪を償うまでずっと囚われる地獄なのさ……いや、俺たちは償いが終わっても、永劫に囚われ続けるだろうな……』


 全身傷だらけの強面の男が訳知り顔で俺に喋りかける。


 気持ちわりぃ!

 俺は何でも知ってますとかマウントすんなや!! 


「うるせえぇぇぇえ!!! あああぁあぁ!!!!」


 世界は神勇者である俺に試練を与えるようだ。

 

 また、【俺の過酷な運命ノート】を書かないといけない……。


 ありとあらゆる全てから虐げられた俺は、俺酷ノートを書き続けることで真の力が目覚めるんだ……。



別視点の後日談に続きます。

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