本物の『強者』
柚花と喜田の2人が互いに睨み合っている時、柚花のバッグからメッセンジャーが飛び出した。
「ちょっと待て!喜田、おめぇは本当に柚花の強さが分からねぇのか?面と向かい合って何も分からねぇのかっ!?」
喜田の目の前にやって来たメッセンジャーは無意味な戦いを止めたい一心であった。
「おー、メッセンジャーじゃん。久し振りー。何も分からねぇのかって?分かるよ。俺も元忍者だから当然相手がどれくらい強いのかを雰囲気や歩き方、体格や筋肉の付き方でちゃんと分かっているつもりさ。」
喜田は久し振りに会ったメッセンジャーに手を振る。かつて喜田とメッセンジャーはよく話す仲であった。メッセンジャーはそんな仲であった喜田が再び柚花にボッコボコにされるのを防ごうと止めに入ったのだが・・・。
「じゃあ、おめぇ何で戦おうとするんだ・・・?」
「勝てるから。」
ケロッとした顔で喜田は即答する。そんな喜田を見てメッセンジャーは薬でもやっているんじゃないかと疑いの目で見つめる。
柚花の強さを知っているなら普通は出てこない言葉だからだ。
「柚花が強いのは見たら分かるよ。それでも俺以下だね。柚花は背も低いし、身体もガリガリじゃん。いくら戦闘経験が多くても男の力の前では無力だよ。力で思いっきりねじ伏せてやれば良いんだからなっ!」
喜田の言葉を聞き、凄い自信だとメッセンジャーは感心する。しかし、それでもメッセンジャーには喜田が勝てる未来が想像出来ない。
だって喜田は柚花が強者のオーラを隠しているのに気付いていないからだ。
「もう良いかな?喜田くん、あたし本気で戦うけど良いんだね?」
指をポキポキ鳴らして戦う顔をする柚花は次第に隠していた強者のオーラを漂わせる。
「っ!?なんだ、この雰囲気は?さっきまでバカ女丸出しの雰囲気だったのに別人みたいな感じがする。」
少しずつだが喜田は身体が震えてきた。そして段々と寒気もしてきた。
その様子を見ていたメッセンジャーは呆れた顔をして喜田の頭の上に乗る。
「アホだなお前。柚花は普段から一般人達と同じ学校に通っているんだぞ?普段からこんなオーラ出すわけないだろ?当然隠すさ!おめぇ見たいに極道者と関わる奴には分からねぇだろうがな!」
喜田はメッセンジャーの言葉を聞いて納得した。確かに喜田も学生の時は自分の強者のオーラを隠してきた。強者のオーラ全開で学校にいると誰も寄ってきてくれないから、みんな怖くて警戒するから。
その事を極道者と過ごすうちに忘れていたみたいだ。
しかし、それでも喜田は自信満々な顔をして柚花を睨みつける。
その自信満々な原因は手にする西洋の太刀であった。