メッセ捕まえてきたよ♪
窓から出て行った柚花であったが僅か数秒でメッセンジャーの首根っこを掴んで戻ってきた。
「メッセ捕まえたよっー♪屋根の上に座って寛いでいたよ♪」
「柚ちゃん、ちょっと早すぎるよ・・・。」
春奈はメッセンジャーを何分で捕まえてくるか気になっていたのに秒で捕まえてきたから、ちょっと面白くないと感じた。
「離せー!どうせお前、俺がさっき言った事でブチ切れてんだろっー!?離せー!俺は死にたくなーいっ!」
柚花に首根っこを掴まれているが、それでも元気にジタバタと暴れるメッセンジャー。
「さっき言った事ってなんだっけ?忘れちゃったよ♪そんな事より小野寺くんの居場所教えてっ♡」
「はぁっ!?誰だよ小野寺って!そんな奴知るか!いいから離せよ!」
暴れ過ぎて段々とメッセンジャーの体力が無くなってくる。普通の鳩より大きいメッセンジャーではあるが、か弱い鳥には違いない。これだけ派手にジタバタ暴れるとメッセンジャーは段々と衰弱してしまう。
それに気付いた柚花は「あ、ごめん」と手を離す。
「くっそ!思いっきり首根っこ掴みやがって!めちゃくちゃ痛ぇんだぞ!」
「ごめんごめん・・・。だってメッセ逃げようとするんだもの。しっかり掴まないと駄目だと思ってさ」
するとメッセンジャーは座布団の上にふてぶてしく座る。
「んで?小野寺って誰だよ?」
「今日の任務で不良たちのスマホの連絡先に小野寺って人の番号があったからさ。この人がたぶん桜井っていう半グレの大将に繋がっていると思うんだ。だからメッセ、何か情報持ってない?」
「持ってないぞ」
メッセンジャーは即答した。そこまで名の知れた人物じゃないのにいちいち覚えていられない。
「そっかぁ・・・。じゃあ調べてきてくれない?」
すると柚花はスーパーの買い物袋の中からポップコーンを取り出す。
「おっ!それは俺の好きなっ・・・!」
目を輝かせてメッセンジャーは柚花の頭の上に飛び移る。
「更に・・・メッセの大好きなパンもあるよ♪」
買い物袋から次々とパンを出す柚花。これは本当は自分一人で食べるつもりだった物だ。
「小野寺って人の情報調べて来てくれたら全部あげても良いんだけどな〜?」
ニヤニヤと柚花はメッセンジャーにパンを見せつける。
「やる!小野なんとかの情報調べ尽くしてやらぁっ!!だからパンを食わせろ!全部食わせろ!もっと食わせろ!」
メッセンジャーは柚花が持つパンを必死に取り上げようとする。それだけメッセンジャーはパンには目がないのだ。
「分かった分かった。その代わりにちゃんと調べくるんだよ?」
「合点承知だ!俺に任せろっ!」
勢い良く返事をしてメッセンジャーは嘴で袋を開けてパンを食していく。