女の武器を使えばOK
「ね、ねぇ柚ちゃん?敵の大将を殺すのは良いけど具体的にはどうするの?相手の居場所とか分からないよね?」
そう言って千歌は熱いお茶を一気に飲み干す。
千歌はさっきの任務に一緒に来ていなかったから分からないだろう。
そう思って柚花はメモっていた物を見せる。そのメモはなかなか達筆であった。
「じゃーん!さっきの任務で不良達のスマホ見ていたら2人とも共通して小野寺って人の連絡先が見つかったの。恐らく、この小野寺が桜井と繋がっている。もちろん2人とも桜井の連絡先も知っていたしね。とりあえず、まずは小野寺から攻めてみようか。」
「攻めるって?てか字めちゃくちゃ上手いね!」
一瞬、柚花の綺麗な字に見惚れてしまう春奈。
春奈はこういった任務の話になると興味津々で色々と聞いてくる。
「そりゃ、あたし達可愛い女の子じゃん?そして殆どの男の人は可愛い女の子が大好きじゃん?だからその可愛らしさを使って小野寺から桜井を紹介してもらうの。そして桜井に会ったらバッサリ斬るの。どうかな?」
柚花の話を聞いた春奈は凄い作戦だと思った。男の人には出来ない、女ならではの任務だ。
「す、凄いね・・・!こんなくノ一っぽいこと前からやってみたかったんだ!今回の任務、私も同行して良いかな!?」
「もちろん!春奈ちゃんなら男の人が食い付く事間違いなし!」
ヤル気満々の春奈の顔を見て柚花は春奈を同行させる事を決めた。
ヤル気満々で向上心に溢れている女の子、しかもまだ中学生となれば半グレのお兄さん達も大喜びで寄ってくるだろう。
そしてその人たちから桜井の居場所を教えてもらえば任務完了はすぐそばである。
しかし、冷静な顔をしている千歌はワクワク、ウキウキしている柚花と春奈に尋ねる。
「具体的にどうやって小野寺って人に会うの?そのメモっている電話番号に電話しても警戒されるだけだよ?」
柚花はニッコニコな笑顔で得意げに語る。
「へっへ〜ん!そんな時にメッセがいるんだよ?メッセはあたしが小さい頃に日本語と同時に諜報活動のやり方を仕込んでいたんだよ?この県内の不良の情報はメッセなら全て分かっているんだ♪」
「えっ?でもさっきメッセ逃げていかなかった?」
「あっ!!」
春奈にツッコまれて柚花はメッセンジャーが逃げ出したのを思い出した。
「しょーがないな。これから取っ捕まえに行きますかっ!」
くノ一装束には着替えずに私服のままで部屋の窓から飛び出そうとする柚花。
「10分でメッセを捕まえてくるから待っていてね♪」
そう言い残して柚花は夜の闇に向かって消えていった・・・。