高山くんが怪我したのは千歌ちゃんのせいじゃない!高山くんがどんくさいのが悪い!
「千歌ちゃん、どしたの?気分でも悪いの?」
高山の隣で俯いている千歌を見て柚花は側に近寄る。
「あ、あのね柚ちゃん・・・。私がしっかりしていなかったから高山くんが崖から落ちて怪我しちゃったの・・・。」
「え・・・?」
「実は訓練で崖を登るのあるじゃん?高山くんはまだ崖を登るのに慣れてないから落ちちゃう事も頭に入れていたはずなのに・・・。」
柚花の山では忍者の訓練・・・特に基礎訓練に適した地形である。その地形を活かして新人忍者の訓練をするのだが、崖を登る訓練は新人忍者の怪我率が極めて高い訓練である。
特に一般人がこの訓練をすると大抵の場合、崖から落ちる事故を多発させるのだ。
しかし誰か1人前の忍者が同行している場合は崖から落ちる事故は基本的には起きない。
落ちるのを未然に防ぐ様にするからだ。しかし今回未然に防ぐことが出来ず、高山は足を痛めた。
「あ〜。千歌ちゃん、そんなに気にしなくても良いよ。言い方悪いけど一般人はあたし達みたいな出自が忍者の人と比べて能力的に劣るから。あたしのお父さんだって忍者になりたての頃は崖からガンガン落ちていたらしいし」
アハハと笑い飛ばす柚花。それと同時に高山も笑う。
「はっはっは。じゃあ俺が落ちるのってやっぱり普通だったんだね。いやぁさっきから千歌ちゃんが申し訳なさそうな顔をして困っていたんだよ。千歌ちゃん、気にしなくても良いからね!」
高山は怪我をした割には上機嫌であった。恐らくとっても可愛い千歌と一緒に訓練出来て楽しかったのだろう。
「た、高山くんがそう言うなら・・・。」
千歌は高山が元気そうだから気にしないようする。・・・がやはりすぐに気持ちを切り替えるのは難しい。
千歌は真面目な女の子。いくら高山が一般人だからケガすることがよくあるとは言え申し訳なさは感じる。
しかし柚花は千歌の事よりも高山の方に言いたいことがある。
「そんな事よりは高山くん?もしかして千歌ちゃんとペラペラと喋っていたから崖から落ちちゃったんじゃないの?」
「ギクゥッ!!」
高山は「ヤバい!殺される!」と思い、ドキドキしてしまう。
「ふーん?」
柚花がジッーと高山を見つめる。その視線が高山を最大限に緊張させる。
変に口の中が渇くし、汗がダラダラと出る。だから高山は勘弁して正直に話す。
「柚花ちゃん、すみません!現役女子高生と話せるのが嬉しくてつい・・・お喋りに夢中になっちゃって・・・。」
「まぁ・・・怪我したのは高山くんだしね。許すよ。これがもし千歌ちゃんが怪我したとなったら許さないけど♪」
高山は殴られると思ったが柚花はいつも通りニコニコとしていた。
しかしそのニコニコと笑顔なところ、最近高山は怖く感じていた。