78/128

彦根城を見物しながら・・・♪

柚花（ゆずか）と春奈（はるな）、メッセンジャーは彦根城を見て回りながら、北條（ほうじょう）会の話や桜井（さくらい）の事を話す。

「今回の件・・・。恐らくあたし達がターゲットにするのは滋賀県内最大の半グレ集団。特に桜井を殺すことが任務になる。桜井（さくらい）は父親が北條（ほうじょう）会のヤクザ。父がヤクザなだけで桜井自身は北條（ほうじょう）会の構成員ではないが外若（そとわか）ではあるんだ。春奈（はるな）ちゃん、この意味分かる？」

外若（そとわか）とは準構成員の事である。組に属してはいないが関係のある者である。

春奈（はるな）は柚花（ゆずか）が聞いてきた意味というのが良く分からず頭の中が「？」である。

そんな春奈（はるな）に対してメッセンジャーが春奈（はるな）の頭の上に乗って得意げに語る。

「つまりな、組に属してはいないが関係のある桜井（さくらい）を殺すってことはヤクザも敵に回すって意味なんだよ。北條（ほうじょう）会は仲間意識がめちゃくちゃ強いから仲間が殺されたら徹底的に調べて回るからな。他所の組を疑って抗争に発展したりする。そんで下手したら一般人（パンピー）にも疑いをかけて殺したりするんだ。過去にそんな事があったんだよ。」

メッセンジャーの話に春奈（はるな）はゾッとする。

春奈（はるな）は極道（ヤクザ）の世界とかルールとか分からないが、仲間が殺されたからといって一般人（パンピー）に疑いを掛けたり殺したりするのはやり過ぎだ。頭がおかしい狂気の沙汰としか思えないのだ。

「そういう事。だからあたし達が半グレ集団を潰して桜井（さくらい）を殺すとなると間違いなく町の治安が悪くなる。極道（ヤクザ）同士が争（あらそ）うだけならまだしも一般人（パンピー）にも迷惑かけるのだけは阻止しなければならない。」

「じゃ、じゃあどうするの？」

不安げな顔で春奈（はるな）は柚花（ゆずか）の顔を見ると・・・柚花（ゆずか）は難しい顔をして溜め息を付いていた。

「町の治安が悪くなるの上等でブッ殺すしかない・・・かな。」

柚花（ゆずか）も色々考えているのだが、どうするのが正しいのか分からない。

ただ言えるのは、このまま桜井（さくらい）を放置するのが１番駄目だということだ。

「そ、そんな・・・。町の治安が悪くなるのって最悪じゃない？それは止めようよ・・・？」

すると春奈（はるな）の頭の上に乗っかっているメッセンジャーが少し怒り気味に声を出す。

「春奈（はるな）。時には治安が悪くなるのを覚悟で殺らなきゃならない時があるんだ。それに極道（ヤクザ）とはいえ調べもせずに一般人（パンピー）殺しや組同士の争いは簡単に起こさない。そういうのは最終手段だな。」

「メッセの言う通りだよ。あたし達は極道（ヤクザ）が最終手段を取る前に問題を解決すれば良いだけ。」

柚花（ゆずか）は簡単に言うがそれがどれだけ大変なのか勿論分かっている。

「まぁ、そんな事より！今は彦根城に来たんだから暗い話はここまでにしてお城見学しよっか？」

柚花（ゆずか）は春奈（はるな）の手を取って走っていく。

「わっ！ゆ、柚（ゆず）ちゃん、いきなり手を引っ張らないでよ！」

「あはは！ごめんごめん！せっかく来たんだからお城見て回って気分転換したいなぁって思ってね♪春奈（はるな）ちゃん、お城の解説してよ♪」

「しょ、しょうがないなぁ・・・良いよ♪彦根城はね、徳川四天王の井伊直政がね・・・♪」

春奈（はるな）は柚花（ゆずか）に抱きついてお城について解説する。２人は終始イチャイチャしながらお城を見て回った。