崖から落ちるのはめっちゃ怖いよ・・・
千歌と高山は手始めに山の中を走り込むトレーニングから始めた。
このトレーニングは忍者としての基礎的な体力を付けるのに最適なトレーニングとして柚花が考え抜いたものだ。
今のトレーニング法になる前は柚花の祖父が考えたトレーニング法で幼い忍者たちは体力を付けていたのだが、なにせ昭和ど根性時代を生き抜いた祖父だ。どうしても根性論ばかりになり怪我が多発し、身体の出来ていない幼い忍者たちは大怪我負うばかりであった。
そうした危険なトレーニングに疑問を常に抱いていた柚花が棟梁となって忍者の全権を手に入れた時、まず先に行ったのがトレーニング法の一新であった。
柚花なりに怪我が起きないように最大限の配慮を考えたトレーニングメニューとなっている。
しかしあくまでも柚花が自分の目線で考えた安全なトレーニングメニューである。どうしようもないほど運動神経のない人の事まで考えていなかった。
「うわぁぁぁぁっっっー!!!!」
「あっー!高山が滑って崖から落ちやがった!」
このトレーニングメニューには山の中を走るメニューではあるが途中で崖を登ることもある。その崖を登る時、高山はうっかり足を踏み外して落っこちてしまった。
「高山くんっ・・・!」
高山が落ちたとなると千歌は慌てて高山を助けに行く。
「高山くん!」
千歌は高山が地面に落ちる前に、高山の落下地点に走って行き、落ちてきた高山をお姫様抱っこの様な感じでキャッチする。
「ち、千歌ちゃん!?」
「高山くん大丈夫?
高山は千歌にお姫様抱っこされている事に気付かず、崖から落っこちる恐怖でお漏らししていた。
そして助かった安堵感から泣きだす。
「うわぁぁ!千歌ちゃん怖かったよぉっー!死ぬかと思ったよぅ〜!」
「うん。うんっ!」
ヨシヨシと高山の頭を撫でる千歌。初めは誰もが同じ感じになる。
こんなトレーニングを始めから完璧に出来るのなんて柚花くらいだ。子供の頃の千歌もいきなり完璧に出来なかったのに、一般人の高山が出来るはずがない。
特に1人でこんなトレーニングするもんじゃない。今回、高山も千歌が居なかったら大怪我、最悪死んでいたかも知れないのだ。
「こ、こんなトレーニング俺には無理だよ・・・!」
さっき落ちたばかりで高山は崖を登るのが怖く感じてきていた。
「大丈夫!私がいるから大丈夫だよ。だから一緒に登ろっか?」
「う、うん!頑張るよ千歌ちゃん!」
高山も漢である。可愛い女の子の前では格好の1つ付けてみたくなるのだ。
そして気合を入れて高山は崖を登りだす。