私が高山の特訓に付き合ってあげるよ!
そうして千歌とメッセンジャーは屋敷の中に入っていく。
高山の部屋は一番日当たりの良い部屋だと聞いていたから、そこへ向かって廊下を歩くと「ギィギィ」と音がする。
「床から変な音がする・・・。床抜けちゃうんじゃないのかな?」
心配そうな顔をして千歌は床見つめる。
その床はいかにもボロボロで千歌の言う通り抜けそうな気がする。
「この屋敷も古いらしいからな。柚花が言うには50年前に建て替えたらしい。」
メッセンジャーの言う通りで、この屋敷は50年前に柚花の曽祖父が建て替えたものだ。
その後、定期的に柚花の祖父が点検して来たが、そろそろ本当に立て直さなければならない時が来るだろう。
気を取り直して千歌は高山の部屋へと行くと・・・。
「う、うるせぇー!」
「っん・・・」
高山がテレビの音量を大きくしてゲームをしていた。
しかし高山は千歌の姿を見ると目を輝かせて千歌に近寄る。
「千歌ちゃんだ!しかも制服姿・・・!」
高山はニヤニヤした顔で千歌に近寄る。千歌は大人しそうだし可愛いから高山は千歌の顔を見るだけで嬉しそうな顔をする。
「おいバカ。柚花の友達の千歌に手を出そうとしたら本当に殺されるから止めとけ。」
「なっ!べ、別に手なんか出さねーよ。」
若干動揺した表情を見せた高山だがすぐに冷静になる。
「千歌ちゃん!さぁ僕の部屋へどうぞ!」
高山は千歌の手を握って部屋に入れようとしたら、千歌が本気の力で高山の手を握る。
「痛っ!痛たたたた!!」
「高山くん、私があなたの特訓に付き合うから、特訓しようか?」
「へ・・・?」
キョトンとした顔をして高山はしばらく固まる。
「え、と・・・特訓って柚花ちゃんがやれって言ったトレーニングだよな?アレ流石に俺には無理だよ!」
「でもそれじゃあ柚ちゃんに殴られるよ?柚ちゃんは高山くんに期待しているんだから高山くんも頑張らないと。」
そう言って千歌は高山の手を握って外に連れて行こうと腕を引っ張る。
「ちょっ!腕引っ張らないで・・・。痛い・・・。」
大人しくて可愛い千歌に手を握られるのは嬉しいんだけど握る力強すぎだし、腕引っ張る力も桁外れに強くて痛い。
「私が高山くんの特訓をしっかり見てあげるから高山くんも頑張って!」
可愛い千歌にそんな事言われても高山は特訓は嫌である。それは顔にも表れており、千歌にも嫌なのが分かっていた。
しかし・・・嫌ではあるが可愛い女の子が見てくれているとなると高山は少しはやる気が出てきた。
「ち、千歌ちゃんが言うなら仕方がないな〜♪」
鼻の下を伸ばしながら高山は千歌に腕を引っ張られたまま外へと出た。