久々に千歌と一緒に夜中の巡回
高山をシメた後、柚花は千歌と共に夜中の巡回に出た。
このまま屋敷に居ても高山も嫌だろうし、柚花は最近サボり気味の巡回に出たのだ。
何故最近巡回をサボり気味かと言うと新しく高山が忍者の仲間になったから高山のサポートをしなければならないからだ。・・・なのに高山は柚花の気持ちも知らないで馬鹿なことばかりしているから柚花もイライラするのだ。
「あーもう!高山くんのアホー!!!」
夜の町中を駆けながら大声で叫んでストレス発散をする柚花。影に生きる忍者でもこれぐらいしたって問題ないはずだ。だってストレスでしんどいんだもん。
「柚ちゃん大丈夫?」
「大丈夫じゃない!あたしは高山くんの為にトレーニング方法考えていたのに高山くんはトレーニングやらずに屋敷で歌ってるし、それにお馬鹿だし。」
柚花のイライラは止まらない。しかし、千歌はそんな柚花に寄り添って愚痴を聞いてくれた。
「うんうん。イライラするよね。大丈夫。私も高山くんはちょっとどうなのかなーって思っていたから。」
「本当?やっぱ千歌ちゃんもあたしと同じに気持ちだったんだー!」
嘘である。千歌はどちらかと言うと一般人の高山の事が少し興味があって、そんな高山に対して柚花はやりすぎだと思っているのである。
でもこれは口には出来ない。口にしたら柚花が激怒してしまい余計面倒な事になる可能性があるからだ。
「まぁ高山くんは明日からはちゃんとトレーニングしてくれるはずだけどね。これだけ殴る蹴るをしたんだから、あたしを怒らせたら大変な事になるというのを身体で知ったはずだから。」
柚花を怒らせると恐ろしい・・・。忍者の中でも最強と言われて恐れられているだけあって、恐怖の植え付け方をよく知っている。
何をすれば人が恐怖するのか、何をすれば人が喜ぶのかを本能で知っている。
そんな柚花を友として尊敬もするが恐れもする千歌。
千歌は柚花にこれ以上高山を殴らないでもらいたいと思った。
「あの・・・柚ちゃん?高山くんの指導の事だけど、私がやっても良いかな?」
柚花に高山の教育をやらせておくと、そのうち高山が死ぬかもしれない。だから千歌は自分が高山の面倒を見ようと思ったのだ。
「えっ!?本当!?」
「うん本当だよ。」
「あー、でもなぁ・・・。新人育成は棟梁のあたしの役目でもあるしなぁ・・・。」
柚花の頭には棟梁としての役目を果たさなければならないという事がある。
棟梁の柚花自ら指導をして忍者としてのルールを身に着けさせなければならない。しっかりルールを理解させて仲間を危険に晒さないようにしなければならない。
「やっぱり駄目。千歌ちゃんを信用していない訳じゃないけど、あたしが責任持って色々教えなきゃいけないことだから・・・。」
「じゃ、じゃあ私が柚ちゃんと一緒に高山くんを指導する!それなら良いよね!?」
「う、うん・・・。」
柚花は珍しく気圧された・・・。千歌の言葉の勢いに怯んでしまった。
こんなに積極的な千歌は珍しく、柚花は駄目とは言えなかった。