高山には言葉はいらない。必要なのは『暴力』だ
柚花に殴り飛ばされた高山はゆっくりと起き上がる。
殴られた顔面を軽く押さえながらフラフラと立ち上がると柚花が近くに寄ってきた。
「立ち上がる前に頭を下げるのが先でしょっ!」
大きな声で怒鳴ると柚花は高山の頭を掴んだ後に腹に蹴りを入れる。
「ゴフッ・・・。」
「土下座しなさい」
優しい柚花が珍しく高山を見下した目で見つめる。
「ごめんなさい柚花ちゃん!特訓が嫌で!でも暇で1人で歌いたい気持ちになったんだ!明日からはちゃんとやるから!特訓するから!」
「・・・・っ!!」
柚花は静かに真顔で高山を見つめる。そして再び柚花は高山を殴る蹴ると暴行を加える。
「痛い!すみません!柚花ちゃん!だから許して!」
痛くて泣きながら謝る高山。しかし柚花は殴ることをやめなかった。
「許すよ。でも高山くんはお馬鹿さんだから身体に教えてあげているの。常識外の事をしたら痛い目に遭うことを。」
柚花の暴力を遠くからメッセンジャーと千歌は見守っていた。というより柚花がやり過ぎたらすぐに高山を助けに行くために見張っていたと言う方が正確だ。
「高山くんが可哀想・・・。」
心優しい千歌は殴られている高山を本気で心配しているが、メッセンジャーはむしろもっと殴れという感じであった。
「千歌、お前は甘ぇ。お前のは優しいじゃねぇんだよ。高山ほどの馬鹿には殴って身体に教えてやらなきゃダメなんだよ。高山みたいな馬鹿は中途半端に許したら絶対に同じ事を繰り返すからな。だからもっとぶん殴っちまえ!」
メッセンジャーの言う通り柚花は高山には暴力で教えてあげなければいけないということを分かっていた。
柚花も感情的になって殴っているわけではない。高山のことを思って心を鬼にして殴っているのだ。
「ごめんなさい・・・柚花ちゃん。許して下さい・・・。死んでしまう・・・。」
柚花の暴力を30分近く受け続けて高山は心と体がボロボロであった。
「よし、もう殴るのはやめてあげるよ。」
柚花は高山が2度と常識外のとんでもない事を起こさないと確信した上で暴行を加えるのを止めた。
これだけ殴られたら高山みたいな気が弱い奴は間違いなく2度とやらないだろう。
「じゃあ明日からはちゃんと特訓をしてね?コレは必ず絶対だよ!」
「は、はい・・・」
高山はか細く低い声で返事をした。その声色から柚花に対して恐怖を感じているのが分かった。