高山は何しとんならっーー!!
柚花と千歌はお店を閉めた後、くノ一装束に着替えた。
「さてと・・・。高山くんの様子を見なきゃ。ちゃんとトレーニングしていると良いんだけど」
「そ、そんな事よりこのくノ一装束・・・派手じゃない?」
千歌は恥ずかしそうにしている。しかし、それは無理もない話だ。千歌は今回、柚花が作ってくれたくノ一装束を着ているからだ。
今まで千歌は柚花が作ってくれたくノ一装束を着ていたのだが、今回は高校に入学したタイミングで新しく、くノ一装束を作ってくれていたのだ。
しかしそれが黄色いくノ一装束・・・。とても派手でとてもじゃないが忍んでいる感じがしない。
某格闘ゲームのくノ一みたいにエッチなコスチュームなのは我慢できるけど、派手な服装が我慢できなくて恥ずかしい。
「千歌ちゃん!全然派手じゃないよ。あたしも自分の分作ったんだけど普通でしょ?」
よく見ると柚花もコスチュームの色が変わっている。前は青とか水色だった気がするが、今回は白だ。
「白も派手だと思うよ?」
千歌は首傾げる。
「良いの良いの。格ゲーのくノ一もこんな感じの色違いのコスチューム着るし!じゃあ早速屋敷に行こう!」
千歌の手を引っ張って急ぐ柚花だが少し千歌の様子がおかしい・・・。
「どしたの?」
すると千歌は恥ずかしそうな顔をして柚花を見る。
「パンツ・・・紐のパンツ上手く結べない・・・。」
柚花たちくノ一はくノ一装束を着るときは紐パンだ。柚花は紐パンの紐くらい普通に結べるが恥ずかしがり屋な千歌はいまだに紐パンの紐を結ぶのが下手である。
恐らく、千歌は恥ずかし過ぎて無意識に紐が緩くなるのだろう。
柚花は千歌の紐パンをしっかりと結んであげた。その時の千歌は物凄く恥ずかしそうな顔であった。
「はいOK!じゃあ行くよ!」
「う、うん!」
柚花の部屋の窓から2人は走り出した。2人は人が肉眼で捉えきれないほどの速さで屋根を走って、屋根から屋根へ飛び移って高山のいる屋敷へと飛んで行った。
そして2人は高山のいる屋敷に到着すると、その様子に驚いた。
「高山くん何してんの!?」
その時の柚花は驚いて口が塞がらなかった。
「俺はおっとこ〜〜〜!!漢の中の〜〜〜!!あ〜〜〜おっとこ〜〜〜!!」
なんと高山は屋敷が人気のない山の中にある事を良い事に一人でカラオケをしていたのであった。
そこへ呆れ果てた顔をしたメッセンジャーが柚花の肩に止まる。
「聞いてくれ柚花!あのバカ、昼の訓練を途中辞めにしてゲームやって酒飲んで!挙句の果てに一人カラオケなんかやりやがってな!山にいる動物たちから苦情が来てやがる!何とかしてくれ!」
すると高山は柚花の存在に気付いたのか「うぇ〜い!!!」と中指を立ててきた。
その瞬間に柚花の乾坤一擲のパンチが高山の顔面にモロに入った。
「何しとんならっー!!」
「ぐげぼらっ!!」
高山は当然の如く派手に吹っ飛び、その場でぐったりとしている。
その様子を見たメッセンジャーは「なんか前にも見たよな。この光景・・・」とポツリと呟いた。