うわぁぁっっー!!熊だぁぁっっー!!
柚花は高山を山のボスに会わせるために外に出て高山をボスの元は案内する。
もちろん千歌と春奈とメッセンジャーも一緒だ。
「んっとねぇ・・・確かこの辺だったはずなんだけど・・・。」
柚花たちの後を付いて行く高山だが、それにしても真夜中の山は怖い。
特にこの山は獣の気配がする・・・。なんか、さっき猪っぽい影が見えたし。
「ね、ねぇ千歌ちゃん?ここヤバくない?めっちゃ嫌な気配がするんだけど。」
高山はあまりの怖さに千歌の手を握る。
「うん?大丈夫ですよ!柚ちゃんが紹介したら絶対に襲われる事有りませんから♪」
千歌は満面の笑みの顔を高山に見せる。
その笑顔に高山は少し気が緩んだ。可愛い子の笑顔ほど落ち着くものはない。
そしてその後も歩き続けると・・・高山の後ろから何やら圧を感じる。
その圧に嫌な予感がして高山が振り向くと・・・大きな獣が立っていた。
「うっ!うわぁぁっー!!熊だぁっー!千歌ちゃん!春奈ちゃん助けてけてけてぇっー!」
高山の振り向いた先には大きな熊がいた。それも一匹や2匹ではない。5匹もいた。
アホみたいにデカい声を出すから熊の方も驚いて動揺しているのが見えたが高山にはどうすれば良いのか分からない様子であった。
「お、落ち着いて高山くん!柚ちゃんがいるから大丈夫だよ!」
怖すぎて高山は千歌の足にしがみついてブルブル震えている。
「高山くん、大声で叫びすぎっ!高山くん、ここにいる5匹の熊がこの山のボスだよ♪熊の一家なの。」
「くっ、熊の一家?」
「そう。あたしの山に大昔から住んでいる熊の一族。今は5匹の熊がいるんだ。お父さんの熊がボーアでお母さんの熊がムーアね。」
お父さん熊とかお母さん熊とか言われてもどっちがオスかメスかなんて分からない・・・。
「ちょっと高山くん来て。」
柚花に言われて恐る恐る熊に近寄ると、なにやら柚花は熊に向かって話かける。
「ボーアとムーア、このお兄さんは新しい仲間の忍者なんだ♪だから山で見かけても絶対に襲っちゃあ駄目だよ?」
すると2匹の熊は「グァー」「グァグァ」と鳴いて頷いた。
そして意外なことに2匹の熊は柚花にじゃれつくのであった。
「おっとっと。コラ、抱きつかないの♪アハハ♪」
目の前で熊とじゃれ合う姿を見てビックリしてしまう高山。
大きな熊がこんなに人に懐くなんて想像していなかった。
「千歌ちゃん、なんで柚花ちゃん熊さんとじゃれているの?」
「柚ちゃんは動物と会話が出来るんだよ。意思疎通が出来るから昔からどの動物とも仲良くなれるだって。だからこの山の動物はみんな柚ちゃんの友達なんだよ。」
「はえ〜、そんな特技があるんだ・・・。」
高山と千歌は柚花が熊とじゃれているところを眺めていると春奈が柚花のところへ走っていく。
「柚ちゃん、私もボーアとムーアにモフモフしたーい♡」
「ん♪じゃあ春奈ちゃんも一緒にじゃれちゃおっ!」
そんな姿を木の上からメッセンジャーは見ていた。
「フン。よく熊とじゃれ合えるな。俺は食われるかも知れないから近寄りたくないぜ。」