夜遅くだけど山を案内するよー♪
柚花が怒ってからは場は静まり返り、高山くんは真面目に柚花の話を聞くようになった。
「とりあえず高山くんは今度からこの屋敷で暮らすこと。電気も水道も通っているし大浴場もあるから住みやすいと思うよ。だから明日の昼間のうちに家から持って来れるものは持ってくるように・・・。」
「は、はい!」
高山は正座をして柚花の言葉を一語一句逃さす聞いていた。もうこれ以上、柚花から怒られたくないという一心である。
そこへメッセンジャーが柚花の肩に止まり何やら深刻そうな顔で言う。
「お、おい。明日昼間みんないないだろ?高山1人でこの山を歩かせるのは危険だろ?まだアイツに顔見せしていないんだろ?アイツ知らない人間は襲って食うぞ?」
柚花は目を瞑って考える。明日は土曜だけど柚花の学校は土曜も午前中授業がある。授業の後は学校の書道部に参加して、その後みんなで町に出掛けるから高山くんに付きっきりというわけにはいかないのだ。
「んっ〜!明日は学校もあるし、部活して友達と遊んだりするからなぁ〜っ!あっ!そうだ!」
柚花の頭に圧倒的閃きが起きた。
「今日のうちに高山くんをあの子達に紹介したら良いんだ。そうすれば明日から高山くん1人でこの山を歩けるよ!」
「大丈夫なのか?アイツら寝てんじゃねーの?」
すると柚花とメッセンジャーの会話に春奈が割って入る。
「柚ちゃん、あの子達ならまだ起きていたよ。私、ここに来る途中に見かけたもん。元気そうだったよ。」
「あ、起きているんだ?じゃあ今から高山くんを紹介しに行こっか?」
「そうだな!付いてこい高山!おめぇをこの山のボスに会わせてやる。」
高山は何が何だかよく分からず小さく「面倒くさっ!」と呟いた。