柚花は山1つを持っていた。
次の日、柚花は畿内全ての忍者に連絡してすぐに新しく忍者となった高山くんを紹介することになった。
夜11時、柚花はお店を早めに閉めて高山くんを外に連れ出す。
「あ、あの柚花ちゃん?どこ行くの?」
「あたしんちの山。目の前に見えるあの山。」
柚花が指さす方は私有地の為、誰も入ってはいけないと言われている山である。地元の人ならみんな知っている怖い山である。
「あ、あそこ柚花ちゃんの土地だったんだ・・・。評判の悪い山なんだけど・・・」
高山は子供の時に何度も聞いたことがある。その山にある建物から子供の泣き声が聞こえたり、落ち武者の幽霊が出たり、クマが出て食べられた人が居るとか聞いたことがある。
「評判悪いのは知ってる。だって誰も寄り付かないようにおじいちゃんがわざと悪い噂流したもん。」
「えっ!?」
「忍者になった高山くんには教えてあげるよ。あの山はあたし達忍者が訓練するための山。山の中を走ったり木から木へと飛び移る練習とか出来るし、あたしが飼っている熊と戦う事も出来るよ。忍者の訓練としては最適な場所なんだよね。」
高山は「へぇ・・・?」と呟いて、ボヘっーとした顔でいた。
そして2人は山を登っていくと大きな屋敷が見えた。
「着いたよ!ここがあたし達忍者が集まる場所!忍者の集会は必ずここでやることになるから忘れないでね!」
「う、うん。」
高山は目の前にある雰囲気のある大きな屋敷を目にして少し緊張してきた。
本当に忍者になるんだなと思って。
「高山くん。少しここで待っていて。」
屋敷に入ると柚花はどこかへ行く。そして着物を持ってきた。
「それは?」
「これはあたしの着物。忍者の集会では棟梁として相応しくある為に馬鹿みたいに高い高級な着物を着るの。」
柚花の手にする着物・・・生地を見るからに相当高い着物だ。こんなの着るほうが緊張するだろうに。
すると高山が柚花を見ると口を大きく開けて驚く。
「あ、アレ?」
高山はよく柚花を見ると先程まで私服を着ていたはずなのに今は着物を着ている。
「い、いつの間に着替えたの?」
すると柚花はフッフッフと言ってニヤニヤと笑う。
「あたしのお着替えは超高速なんだよね。」
小学生の時から集まりがあるたびに着物に着替えていたからいつの間にか瞬時に着替える術が身に付いたのだ。
そして柚花と高山が屋敷の奥の方へと歩いていくと柚花は立ち止まる。
「この先の部屋に忍者の仲間が待っているんだけど、お兄さんは普通にしていれば良いからね?余計なことを言うとややこしい事になるから沈黙を貫いてね。」
「え?あ、うん!」