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忍者のお仕事

夜の闇に消えたかと思われた少女は意外にも家の近くに民家の屋根の上にちょこんと座っていた。


そして大きなあくびをしている。どうやら暇で眠いのだろう。


そこへ少女の後を追っかけてきた鳩が飛んできて少女の肩の上に止まる。


柚花ゆずか!オレを忘れないでおくれよ!」


そのはとは普通のはとより一回り大きく、人の言葉を喋っていた。


少女・・・名を柚花ゆずかと言うが柚花はそんなはとの身体を両手で持つ。


「メッセ、ゴメンゴメン♪うっかり忘れていたよ♪」


ニコニコ笑顔で柚花ゆずかは鳩のメッセンジャーに対して謝る。


このはと、メッセンジャーという名前を小さい頃の柚花ゆずかに付けられたのだがいつの間にか「メッセ」と略されて呼ばれている。




「うっかりじゃねーよ。相棒のオレを忘れるなんて!」


メッセンジャーはクチバシで柚花ゆずかの頭を軽く突っつく。


「メッセ、ゴメンね。それに痛いよ・・・。お詫びに沢山身体触ってあげるね♪」


謝りながら柚花ゆずかはメッセンジャーの身体をワシャワシャと触る。メッセンジャーは柚花ゆずかに身体をワシャワシャと触られるのが気持ち良くて好きである。身体をマッサージしてもらっている様な感じになる。


しかしそれとコレは別だ。


「オレは心が痛いってーの!友達ダチから忘れられるのって傷付くんだぜ?」


「うん、ゴメンね・・・。」


思っていた以上にメッセンジャーが怒るもんだから柚花ゆずかもしょんぼりした顔をして謝る。


「あ・・・いや、分かれば良いんだよ。分かれば。」


メッセンジャーも言い過ぎたかな?と思ってコレ以上言うのを止める。というかしょんぼりした柚花ゆずかの顔を見るのは何だか嫌な気持ちになる。


「それで柚花ゆずかはなんでこんなところで座ってんだよ。夜のパトロールはしねーのか?」


メッセンジャーは柚花ゆずかは座って休憩しているのを不思議そうに思って聞いてみた。


それに対して柚花ゆずかはつまんなさそうな顔をして答える。


「今日・・・パトロールする必要が無いかなって・・・。あまりにも平和な空気が漂っているし。」


今はいないと思われている柚花ゆずかたち忍者は毎日夜中に町のパトロールをする。チンピラたちのくだらない喧嘩とかを止めたり、半グレ集団が暴れているのを止めたりする。


もちろん自分の顔を見られないように忍者の早技を使ってである。


この一見平和そうに見える日本の裏ではそんな半グレ、ヤクザなどが悪さをしている。


その悪さから陰ながら一般人を守るのが柚花ゆずかたち現代の忍者の仕事である。


しかし小学生低学年の頃から忍者として活動している柚花ゆずかには分かるのだ。


今日は何も無い平和な日とか、ヤバい事件が起きる胸騒ぎがするとかが。


「そうなのか?オレにはいつもヤバい気がするけどな?」


はとのメッセンジャーにはそんな感覚がまるでない、だから柚花ゆずかの言っている意味がイマイチ分からなかった。


「今日は何もないよ。あたしには分かるの。だから今日は少しパトロールをして帰るよ。」


柚花ゆずかはメッセンジャーを両手で抱き抱えて再びよるやみに消えていく。

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