殺人を犯したことがある者特有の匂い
足音はゆっくりと近付いて来る。
足音が近付いてくると同時に話し声も聞こえてきた。
「あのクズ共、仕事放って帰ったのかぁー?」
「もしそうなら家族全員ブチ殺さねぇとなぁ!」
「アッハッハ!そりゃねぇーだろ!こちらにはクズ共の個人情報丸々あるし銀行カードも預かっているから仕事放って帰るわけには行かねーでしょ。弱者男性は金が全てだからなぁっー!」
デカい声で喋っていて、いかにもアホそうなバカ面の巨体の男たちが前から歩いてきた。
そのバカ面の男たちの前に柚花は堂々と歩いて行く。
「おっ?前から可愛い女の子が歩いてくるぞ?犯す?犯す?」
「くノ一のコスプレ!しかもエロいヤツだぁ!攫っちゃおう!」
巨体の男2人は柚花を見るとすぐに柚花の方へ全力疾走して走っていく。
「おい、そんな事より大事なことがあるだろ!・・・って聞いちゃいねぇな。はぁ・・・」
リーダー格っぽい金髪で耳にピアスをしている男が溜息をする。
しかしその直後であった。
リーダー格の男へ向かって何かが飛んできた。
「うおっ!」
その『何か』を避けると男は顔にベチョっと不快な物が付いた。
「汚いな・・・。なんだ?」
顔に付いた不快な物を手で拭った後に手のひらを見てみると・・・血が付いていた。
「あ?何で血・・・?」
すると他のメンバーが後ろで騒いでいる。
「うわぁー!頭がっー!!」
「おいいい!大丈夫かおめぇっー!」
その声を見てリーダー格の男は後ろを振り向くとそこには先程柚花を襲うために走って行った者の頭が転がっていた。
「んなっ・・・!」
男は予想外のことに血の気が引いた。
「何ボッーとしてんの君たち?次は君たちがそうなる番だよ?」
リーダー格の男は再び振り向くと・・・そこには身体が真っ二つにされた男の身体を引きずってきた柚花がいた。
「うっ・・・!」
その場にいた柚花以外の全員は真っ二つになった人の身体を見て気持ち悪くなって吐きそうになった。
「アレどうしたの?君たちもこんな感じで人を殺してきたんじゃないの?君たちから殺人者特有の匂いがするんだけど?」
柚花は余裕な顔をして屈強な身体の男たちに近付くと手にする刀でリーダーの太ももを刺す。
「ぎゃああっー!いて〜よぉっー!!」
リーダーの男は物凄い苦痛を感じて絶叫する。
「うんうん。痛いよねぇ。とりあえず、そのカバン寄越してくれないかな?色んな人の個人情報あるんでしょ?」
優しく満面の笑顔で柚花はリーダー格の男の目を見る。しかし、その笑顔が男からすると死神のように見えていた。
「よ、寄越すわけないだろ!これ取られたら大変な事になる・・・!」
「ふーん?そっかぁ。なら良いや。じゃーね!」
すると柚花は途端にその男を興味のない顔で見て、手にする刀で頭を真っ二つに斬った。
「さて。多分お兄さん達の個人情報は全てこの鞄に入っていると思うけど・・・。あっ・・・!」
リーダー格が持っていた鞄を手にした柚花はリーダー格の男以外にも人がいた事を思い出した。
そして振り向くと鉄パイプやナイフを持っている男が目に映った。
「あー、そうだよね。足音が10人分聞こえていたんだから、まだいるよね。」