うーん・・・柚花ちゃんって意外と凶暴なんですよね
柚花とお兄さんが木から落ちたせいで静かな闇夜にドーンという大きな音が響き渡る。
背中から地面に落ちた柚花は「痛て・・・」と笑いながら言っていた。普通は背中から落ちたら大怪我である。
しかも高さも考えたら死ぬ可能性もあるのだが柚花は忍者特有の頑丈さのお陰で傷一つなしである。
そんなことより一般人のお兄さんの事が心配である。
「お、お兄さん?どこ?大丈夫?」
お兄さんが心配で柚花は急いで立ち上がろうとすると・・・お兄さんは柚花の隣でブッ倒れていた。
柚花の貧相な胸を思いっきり握って・・・。
「ご、ごめん柚花ちゃん・・・」
瀕死の重傷を負ったお兄さんだが柚花の胸を触ったことによる謝罪は出来るみたいである。
「コラ!お兄さん!このたわけぇっー!」
しかし胸を触られた事による嫌悪感のあまりに柚花はお兄さんに馬乗りで容赦なくビンタする。
「いくら木から落っこちた非常事態でも女の子のお胸を触るのはイカンでしょーがっー!この馬鹿モンが!馬鹿モンが!馬鹿モンが!」
瀕死の重傷にも関わらず容赦なくビンタする柚花にお兄さんは痛すぎて謝ることも出来ないご様子。
ビンタされるお兄さんがあまりにも哀れに感じたメッセンジャーは慌てて柚花の目の前にまで行く。
「柚花やめろ!これ以上ビンタしたらこの馬鹿が取り返しの付かない大馬鹿者になるだろ?」
しかし柚花はだからどうした?と言わんばかりにお兄さんをビンタする。
「あのね!女の子のお胸をうっかり触る・・・というか握るのはダメでしょ!だからビンタで分からせているの。これを分からなきゃお兄さんに生涯彼女なんて出来ないからね。これは愛のムチみたいなものなの。」
柚花は真顔で言うが、結局は自分のコンプレックスである貧乳を触られたからブチ切れているだけである。
こうなったら柚花はなかなか止まらない・・・。
「この馬鹿はいつでも殴れるだろ?そんなの後にしとけよ。今はもっと大事な事があるだろ?大事な『任務』が!」
メッセンジャーが発した『任務』という言葉に柚花はピクッと身体が反応した。
忍者である柚花は任務が第一と育てられた為、どうしても任務という単語が出ると『自分、何やってんだろ?』という気持ちになるらしい。
「・・・メッセの言うとおりだね。あたし何やっていたんだろ?」
柚花は立ち上がると気絶したお兄さんを担いで歩き出す。
そんな柚花の様子を見ていたメッセンジャーは「怒りが収まって良かった・・・。」と安堵の顔をしていた。