お父さん!高校生の娘に高級品をプレゼントするのはアカンすよっ!
「ごちそうさまでしたー♪」
「ご馳走様でした」
会計のとき、柚花の父・大和は必ず「ご馳走様でした」の言葉と共に丁寧に頭を下げる。
その風貌と豪快な振る舞いからとても想像できないが、食後の挨拶はとても礼儀正しい。
そんな父に育てられた柚花も必ず「ご馳走様」という言葉、お礼をいう。世間では飲食店で食べた後、会計済ませたら何も言わずに店を出ていく人が殆どだが大和は娘に対してそれを許さない。
さて、昼飯を食べ終わった2人は次にどこに行うか悩む。
「柚花ぁッ!次どこ行きてぇ?何でも買ったるぜぇ!金よっけぇあるけぇの!あ、そうじゃ!柚花もブランド物のバッグと財布買わんとおえんの!」
ふと大和は柚花にブランド物を買い与えたくなった。
というのも柚花の服装はお洒落で可愛いのだが持っている財布とバッグは安物だ。柚花も前から新しいバッグと財布が欲しいと思っていた。
「えっ!?お父さん、バッグと財布買ってくれるの?」
「おう!俺はこの前の仕事で金よっけぇ持っとるけぇの!今ならなんぼでも買ったらぁっ!!高校入学祝じゃあぁっっ!!」
「お父さん本当!?やったぁ!前からブランド物のバッグや財布に興味あったんだ!お金持ちの家の子なんて中学時代からブランド物持っているから羨ましいなって思っていたんだ!」
柚花が嬉しくてキャッキャしているところにメッセンジャーが飛んでやってくる。
「コラ大和!おめぇ高校生にブランド物の買ってやるとか正気か?」
「おう正気じゃぁ!なんなぁメッセ、俺に文句あるんか!?」
高校生にブランド物を買ってあげるとかおかしいと思ったメッセンジャーは大和に面と向かって文句を言う。
「文句あるに決まってんだろ!高校生のうちから高級品買い与えたら、高級品以外のバッグとか絶対使わなくなるぞ!そのうち高級品じゃないと気が済まない様な奴になるぞ!大人になったら借金してでもブランド物買うんじゃないか?そこんところしっかり考えろバカっ!!」
「メッセ何言っているの?借金してでもブランド物買ったりするわけないじゃん。あたしがそんなお馬鹿さんに見えるの?」
「あぁ!見えるね!だっておめぇ紅葉と違ってお洒落とか流行り物に敏感じゃねーか。そういう奴はブランド物にも敏感なんだよ!」
「いや、意味分かんないよ・・・流行り物好きがブランド物にも敏感とかそんなわけないでしょ・・・」
必死に柚花にブランド物を買い与えないようにしようとするメッセンジャーに柚花は呆れた顔をする。
「メッセ、おめぇの意見は確かに大事じゃなぁ〜!!可愛い娘がブランド物ばかり求めるようになっては大変じゃあ〜!!」
メッセンジャーの伝えたいことが大和には伝わったみたいである。しかし・・・!!
「じゃけど今回は俺がどうしても買ってあげたいんじゃー!入学祝いのプレゼントくらい派手に買い与えてぇんじゃっー!!」
「やったぁ♪」
父・大和の言葉に柚花は歓喜の喜び。その隣でメッセンジャーは肩を落としている。
「くっ・・・。でも、賢い柚花ならブランド物欲しさで身を滅ぼすことは無い・・・か?」
メッセンジャーは自分の親友である柚花を何故か信用出来なかった。