柚花と大和
柚花は大和に会うために滋賀で1番栄えている町である大津駅まで電車で行く。
ここ大津市は滋賀県で最も規模が大きく1番栄えている町で、大津駅から京都駅まで東海道本線で約10分という交通の便の良さが魅力だ。
「おおっー!久々に来たぜ大津駅!可愛いミニスカJKも居てたまらねぇな!」
柚花の鞄の中から出てきて、駅周辺の賑わいと可愛い女の子達の多さに興奮するメッセンジャー。
「あたしはたまに来るけど、いつ来ても賑やかでいい街だよね。カラオケもあるし本屋もあるしゲーム屋もある。ここなら服だって色々売っているしね!」
定期的に大津市まで遊びに来る柚花もテンションがブチ上がってしまう。やはり大きな町は賑やかで華があるからテンションが上がってしまう。
「どこがエエ町ならぁ〜!俺が昔通っていたパチンコ屋が潰れとるじゃねぇかっ!」
突如として大きく力強い声が聞こえた・・・。メッセンジャーと柚花は咄嗟に振り向くと・・・。
「あ、お父さんだ!久し振り!」
「大和じゃねぇーか!相変わらず柄が悪ぃな!」
そこには大柄な男・・・どこからどう見ても一般人には見えない男、大和が立っていた。
「よぉ!柚花ぁっ!メッセンジャーも!元気しとったかぁっー!!」
すると大和は柚花を掴んで大勢の人がいる前で肩車をする。
「わっ!ちょっと周りの人が見ているし恥ずかしいから止めてよー!」
「アホかっー!周りの目やこぉ気にするなぁ!俺は俺じゃあっー!」
公衆の面前で肩車をされる高校1年生の柚花はめっちゃ恥ずかしそうな顔をする。
「はっはっは!大和は相変わらずだな!」
柚花と大和のやり取りを見ると昔を思い出すメッセンジャー。そう、大和はいつも周りの目を気にせず自分のやりたい事や言いたいことを言う、そういう男であった。
しかし・・・娘である柚花からするともう少し周りの目を気にしてもらいたいものである。こんな所を学校の人に見られたら笑い者にされてしまう。
「今日は紅葉はいねぇのか?俺は寂しーぞぉ!」
さっきまで楽しそうにしていた大和であるが紅葉が居ないと気付くとションボリした顔になる。
「紅葉ちゃん、部活や受験勉強で忙しいんだよ。だから今日はあたしだけ。でも夕方になれば帰ってくるから家の一階で会えるよ♪」
夕方になればお祖父ちゃんと店番代わるから家の一階で紅葉と会話が出来る。
「そうかぁ!ところで義父はどうしとんなら?まだ元気しとんか?」
「うん、全然元気!まだまだ店番は出来そうだよ」
「そうか、まだ死なんか・・・」
大和は複雑な気持ちである。娘達と暮らしたいが、義父と大喧嘩して家を追い出されたから帰ろうにも帰れない。義父が死んだら大好きな娘達と暮らせるのだが・・・。
「まぁ、そんな事よりご飯食べに行こっ♪」
柚花は大和の手を取って引っ張ろうとする。柚花の力は巨漢の大和でさえ引きずる事が出来るほどの馬鹿力だ。
「飯って!どうせ、おめぇの事だからパンケーキとか喫茶店とかじゃろ?俺そんなんじゃ腹膨れんけぇ肉食いに行くぞっ!」
「そう言うと思っていたよ♪最近出来た焼肉屋さんが近くにあってね♪」
「おうおう!旨そうじゃのぉっー!ほなそこ行こうかっー!」