仕事が終わると娘自慢しまくる面倒くさいおっさん
風俗街を出た大和は舎弟の尾仲と居酒屋へと行く。
「ふぃ〜っ!!仕事をした後のビールはやっぱ美味ぇっーー!!尾仲もじゃんじゃん飲めや!銭ならあるんじゃあっー!!」
注文したビールを大和はイッキ飲みしてはすぐに注文する。
それに比べて尾仲はあまりビールが好きではないからちびちびと飲んでいる・・・が、そんなところを大和に指摘される。
「尾仲ぁっー!どしたんなら!?グビッと飲まんかい尾仲っー!」
元々声のデカい大和が酒の力で更にデカい声になるから尾仲はビックリする。
「あ、いや俺ビール苦手なんで・・・。チューハイならガブガブ飲めるんスけどね・・・」
苦笑いをして頭をポリポリと掻く。すると・・・。
「アホかっー!居酒屋に来たらまずはビールをグビッと飲むのが礼儀じゃあっ!チューハイでは許さんぞっ!!さぁ、はよ飲めぇっ!!」
尾仲は大和と今まで数え切れないくらい飲みに行ってきたが、このやり取りはいつも飲みにいくと必ずやるやり取りである。
こんな感じで尾仲は苦手なビールを飲んでからチューハイを頼む。
するとコレも毎度の事なのだが、大和は尾仲に娘の話をする。
「でのぉ〜〜!!今週の土日に娘に会いに行くけぇのぉ!横須賀の町を尾仲ぁ!!おめぇに任せるわぁ!!」
「娘さんに会うんスか?」
「おう、そうじゃあ!長女がのぉ〜!中間テストで1位を取ったんじゃって!わしゃあ嬉しゅうて涙出たわぁ〜〜!!小学校すらロクに行ってねぇワシの娘が進学校で1位よ!真面目で良い子に育って嬉しいわぁ!」
ビール飲みながら勝手に泣き出す大和。こんな大和を見て尾仲は面倒くさいとは思わなかった。
むしろ尊敬出来る横須賀の町の英雄も人間臭いところがあって親近感が湧く。
「娘さん、さっきの風俗店の女の子の蓮花ちゃんに似ていると聞きましたけど本当ッスか?」
「ホンマじゃあっ!ホラ見てみぃ!」
すると大和は中学の卒業式の時にスマホで撮った柚花の写真を見せる。
「・・・確かに蓮花ちゃんに似てるッスね。」
尾仲は柚花の写真を見て、さっきの風俗店の女の子に似ていると思った。
「だけど娘さん、柚花ちゃんの方が胸が小さっ・・・」
柚花の方が胸が小さくて残念・・・と言おうと思ったがやめた。
「ん?ワシの娘の胸がなんだって??」
大和の前で柚花の胸の話をしたら殺されそうな感じ・・・気配を感じた尾仲は機転を利かせる。
「すみません!ビールお願いします!」
普段なら絶対に自分からビールを頼まない尾仲。そんな尾仲の行動に大和は声を上げる。
「おうおう!!尾仲が自ら進んでビール頼むとか明日は槍が降るでぇっー!!よっしゃあ!グビッと飲んだれ!」
その後、尾仲は苦手なビールなんとか飲みきって次の日二日酔いになったという・・・。