子の敵は親が討つ
柚花達が喜田の亡骸を埋葬していた時・・・。
殺された息子の葬式を終えた喪服姿の男がいた。
その男は坊主頭でどこからどう見てもカタギには見えない人物であった。
坊主頭の男は息子の亡骸を見て流した涙がいまだに止まらない。
しかし、そこへ1人の男が現れた。
「おい、桜井・・・」
桜井と呼ばれた男は振り向くとそこにはいかにもヤクザの風格の男がいた。髪は短髪で黒髪で外見もそこまで怖そうには見えない。
しかし、その身から発するオーラが只者ではないのだ。
そのオーラ、雰囲気がヤクザとしかいえない男なのだ。
「あ、あなたは北條の若頭・・・!お久しぶりです!」
坊主頭の男はすぐに頭を下げるが若頭と呼ばれた男は「やめろ」と言う。
「この場はお前の息子の葬式。息子の葬式で親が頭下げるんじゃねぇ。親なら堂々としていろ」
北條の若頭に言われてすぐに姿勢を戻す坊主頭の男。すると若頭は今にも人を殺すような目付きをしていた。
「お前、息子が誰に殺られたか見当ついてんのか?」
「い、いえ・・・。息子が死んでいた店には監視カメラは無く、ダミーカメラのみです。そして何故か店にいた店員達はその時の記憶がないみたいなのです・・・。おかしな話です・・・」
若頭はその話を聞き、「ほぉ・・・」と呟く。
「もしかしたら『あの話』は本当なのかもなぁ・・・」
「あの話とは・・・?」
「昔、情報屋から聞いたことがあんだよ。極道やその他の悪党を殺し回る組織をよ。ただし、ソイツらが殺ったところは誰も知らない。その場に居た奴もその時の記憶がないっていう話だ。『忍者』らしいんだが・・・」
坊主頭の男は『忍者』と聞いて信じられないという顔をした。
「まぁそんな顔をするのが正しいわな。忍者なんてとっくの昔に居なくなったはずだ。だが、今回の事件を見ると本当に忍者がいるかもと思えてくる。店にいた奴らが皆記憶がないっていうのはおかしすぎる。まるで誰かに記憶を消されたみたいに」
「た、確かに・・・」
若頭の話を聞いて、いかにも不自然な感じがする。
「この事について少し調べておこう。お前も息子の敵討ちしたいだろ?」
すると坊主頭の男の優しそうな顔が段々と人を殺しそうな凶暴な顔へと変わっていく。
「勿論です!子供を殺されて黙っている親なんていないですよ・・・!何としてでもこの手で殺してやりたいです・・・!」
若頭は坊主頭の男の目から憎しみの炎を感じ、ニヤリと笑う。
「フッ・・・!そうだ。子供を殺されて黙ってる親なんて親じゃないからな。俺もおめぇの息子が殺されて腹が立っている。だからこの事については少し調べといてやる・・・!少し待っとけ!」
「は、はい・・・!是非よろしくお願いします!何としてでも敵を討ちたいです・・・!」
坊主頭の男は深々と北條の若頭に頭を下げる。
そして北條の若頭は外に出てタバコを口に咥えた。
「さてと・・・この手の情報ならアイツに聞いてみるか」