裏切り者には死あるのみっー!!
柚花はボロボロの状態の喜田をみんなに見せて、みんなはどういう反応を取るのかを見ていた。
春奈と千歌は殆ど喜田の記憶がないから特に反応は無かったが桧山は違った。
「喜田、オメェ・・・!極道なんかに手を貸しやがってっ!ド阿呆がっ・・・!」
桧山は大声で怒鳴り、喜田の顔面に渾身の一撃のパンチを食らわす。
「ゴフッ・・・!ひ、桧山さん、俺は柚花に勝ちたかったんだ・・・。どんな手を使ってでも・・・。昔から生まれつきアホみたいな身体能力と頭の良さを持つ柚花が羨ましくて、同時に憎かったんだ・・・!それにみんなの前で柚花にボコボコにされたこと・・・アレが許せなかった。忍者のみんなの前で年下にあんな目にされたら恥ずかしくて耐えられない。だから復讐してやろうと思って極道の北條会の用心棒になったんだ・・・!」
喜田はとにかく昔から柚花が気に入らなかった・・・。生まれながらに忍者の才能、勉強の才能、そして容姿の良さを持つ柚花が・・・!
その言葉を聞いて桧山も少し納得するところもあった・・・。
「まぁ・・・気持ちは分かる。みんなの前でボコボコにされるとかトラウマになるよな。俺もされた事があるから分かる。歳上の俺らは惨めな気持ちになるよな・・・」
桧山も過去に柚花にみんなの前でボコボコにされたから喜田の気持ちは痛いほど分かる。だが桧山はそこまで柚花を恨んだりはしなかった。
柚花は別格の存在なんだと再認識出来て、そんな強さを持つ柚花と同じ仲間ということが誇らしく感じたのだ。
そして喜田に対して怒りを見せるのは同世代の優であった・・・。
「喜田、アンタ・・・!」
優と喜田は歳も家も近いから小さい頃からと遊んだ仲。この中では誰よりも話したり遊んだりした仲である。
「ゆ、優・・・。」
喜田も優も言葉が出なかった。何を話したら良いのかが分からなかったのだ。
だが優は立ち上がって喜田の傍に行くと喜田の身体を足で踏む。
「ぐおぉっ!な、なぜだ優!そこは俺を助ける場面だろ!俺達幼なじみだろ!」
優の思いもよらぬ行動に喜田はパニック状態に陥る。幼なじみの優なら何とかして柚花を説得すると思っていたのだ。
「何言ってんの?私は忍者よ?誇り高き岩崎家の跡取りよ。反社勢力に力を貸した裏切り者には死あるのみだから。」
「そ、そんな・・・!」
冷たく突き放す優・・・。優は見た目はギャルっぽいが誰よりも忍者であることを誇りに思い、誰よりも忍者の掟を守る真面目な忍者であった。